「お力添え」の意味と使い方!類語やビジネスでの例文も紹介

ビジネスシーンでよく耳にする「お力添え」という言葉ですが、ときどき間違った使い方をしているケースが見受けられます。誤りの原因は、尊敬語と謙譲語を混同してしまうことです。

今回は「お力添え」の意味をきちんと押さえながら、類語や使い方、またビジネスにおける例文を合わせて紹介します。

「お力添え」の意味や類語とは?

「お力添え」の意味は助けること

「お力添え」の意味は、助けることです。「力添え」に、丁寧あるいは尊敬を示す接頭辞「お」を付けて表現した言葉です。助けてもらったときや、相手に力を貸してもらいたいときに使用します。

「お」を付けない「力添え」は、目上の方以外からの援助に対して使うもので、友人や後輩などからの助けに対して「皆さんの力添えがあってこそ達成できました」というように表現できます。一方、目上の方に対しては「お」を付けて、「お力添えいただき、ありがとうございました」などと使います。

よく使われる類語は「尽力」

「お力添え」の類語としてよく使われるものとしては、「ご尽力」「ご協力」「ご支援」などです。「ご尽力を賜りました」「ご協力ください」「ご支援に感謝します」というように「お力添え」の代わりに使うことができます。

ただし、「ご尽力」以外の言葉は「お力添え」に比べると少しカジュアルな表現になるため、フォーマルな場面では使用を控えたい言葉です。

「援助」「助力」「応援」なども類語

「お力添え」はサポート・フォロー・アシストという意味合いがある言葉です。類語に多用されている漢字は「援」「助」「力」で、例として「援助」「助力」「応援」「助太刀」などが挙げられます。

そのほか「加勢」「加担」「助勢」「味方」なども言い換えが可能なもので、どれも助けるという意味がある言葉です。

「お力添え」の使い方

「お力添え」は自分に対して使えない

「お力添え」の意味は助けることですが、助けてもらう側が使うものであって、助ける側が使う言葉ではありません。助けていただく側が、相手の助力を婉曲に指して使います。

つまり、相手の力を少しだけ貸していただくという言い方をすることによって、相手を立てることに結びつけた表現が「力添え」です。

したがって自分の行為に対しては、たとえ「お」をつけない「力添え」であっても、「力添えさせていただきます」というような使い方はできません。

自分に使える「お力添え」以外の言葉

「お力添え」の類語として挙げた「ご尽力」「ご協力」「ご支援」などは、「ご」を外すことで力を貸す側も使うことができます。

例を挙げると、「尽力させていただきます」「協力させてください」「支援します」というような、自分の言動に対しても使える言葉です。また「ご尽力いただきました」「ご協力をお願いします」「ご支援を賜ります」というように、相手の言動に対しても使用できます。

「尽力」には努力が含まれる

「尽力」は文字通り力を尽くすことで、単に力を貸すだけではありません。ものごとに対して精一杯力を注ぐという状態を指します。そのため援助をお願いするときではなく、助けていただいたときのお礼の言葉としてふさわしいものといえます。

注意したい点は、「尽力」を使うときに「尽力を尽くす」と言ってしまわないようにすることです。「尽力」は力を尽くすことを意味するため、「尽力を尽くす」という言い回しでは「尽くす」が重なってしまうからです。

「お力添え」を使ったビジネスでの例文

お礼を述べる「お力添え」を使った例文

「お力添え」はよく使われるシーンは、援助をいただいたことへのお礼を述べるときです。使用例としては以下のようなものがあります。

  • 「このたびはお力添えを賜りありがとうございました。」
  • 「○○様のお力添えがあってこその成果です。」

お礼を述べるときには、「ご尽力」で言い換えできます。

  • 「このたびはご尽力を賜り、心より感謝申し上げます。」
  • 「これもひとえに、○○様のご尽力の賜物です。」

というように、そのまま置き換えても問題はありません。

援助をお願いするときの例文

援助をお願いする場合にも「お力添え」を使うことができます。

  • 「今後ともお力添えをいただきますよう、お願いいたします。」
  • 「重ねてのお力添えを、お願い申し上げます。」

目上の方に援助をお願いする場合には、「お力添え」を「ご尽力」と言い換えることは避けます。「尽力」には努力を強いる意味合いがあるため、尊敬語としてふさわしくないからです。

自分が力を貸す側のときの例文

「尽力」を使った例文

自分が力を貸す側のときには「尽力」を使うことをおすすめします。改まった場所でも失礼にならず、使いやすい言葉だからです。以下に例文を挙げて置きます。

  • 「誠心誠意、尽力させていただく所存です。」
  • 「微力ながら、尽力して参ります。」

まとめ

「お力添え」が尊敬語であることを覚えておくと、誤った使い方を避けられます。

類語である「ご尽力」などの使い方とともに例文といっしょに覚えておくと、ビジネスの現場で落ち着いて対処できるでしょう。尊敬語と謙譲語を正しく使いこなして、失礼のない言葉遣いをしてください。