刑事ドラマなどに登場するためか、「プロファイリング」は犯罪捜査専用のものと受け取られることがよくあるようです。しかし「プロファイリング」はビッグデータを解析するもので、ビジネスにも広く活用されています。この記事は「プロファイリング」の意味のほか、やり方やビジネスでの使い方なども紹介するものです。
「プロファイリング」とは?
「プロファイリング」の意味は”犯人像の分析技法”
「プロファイリング」の意味は、“犯罪捜査における犯人像の分析技法”のことです。犯罪の特徴をもとに統計的なデータや行動心理学などを用いて犯人像を推論するものです。
アメリカの連邦捜査局(FBI)が採用している手法で、特に異常性の高い犯罪捜査において効果的なものとされています。
なお「プロファイリング」の本来の意味は、様々なデータを統計学に基づいて分析するものであり、犯罪捜査だけを対象にしたものではありません。
しかし刑事ドラマなどで「プロファイリング」と言う言葉が知られるようになったためか、「プロファイリング」といえば犯罪捜査と受け取られる傾向が強いようです。
「プロファイリング」とはある人物の行動を推測すること
「プロファイリング」は犯罪捜査だけでなく、ある人物の過去の行動記録や個人情報を分析することで、これからの行動を推測することも指す言葉です。
顧客の年齢や性別、購買履歴などのデータを解析することで今後の購買予測を行ったり新製品の開発に活用したりする手法は、ビジネスでもよく用いられるもので「顧客プロファイリング」と呼ばれています。
「プロファイリング」の基本は”統計学”
「プロファイリング」では、”統計学”が基本となっています。犯罪捜査においては過去に発生した犯罪のデータベースから人間の行動パターンの分析と推察を行い、新たな事件に適用するというものです。
いわゆる「刑事の勘」は、ひとりの刑事の頭の中に集積された過去の事例から得られる経験知ですが、主観と個人の資質に左右されがちであるという問題点があります。
一方の「プロファイリング」では、個人の能力や経験を越えて多くの人がアクセスできることと、データ量が比較にならないほど膨大であるということに加え、客観性を維持しやすいということもメリットです。
「プロファイリング」の語源は”プロフィール”
「プロファイリング」は、英語の”profiling”をカタカナ表記したものをそのまま用いているものです。「profiling」は「profile」に現在分詞の「-ing」がついたもので、元の「profile」には”横顔・プロフィール・輪郭”という意味があります。
フランス語の「profil」と英語の「profile」は同じ意味合いですが、日本でカタカナ表記する場合にフランス語では「プロフィール」、英語では「プロファイル」とすることが一般的です。
犯罪捜査での「プロファイリング」のやり方とは?
「プロファイリング」は犯人像を特定するもの
従来の犯罪捜査では、犯人に前科がある場合や、被害者と犯人につながりがある場合には早期に解決できました。
それ以外の場合には、現場に残された証拠品や目撃情報を頼りに捜査を進めていきますが、証拠品が大量生産品であったり目撃者がいなかったりすると、捜査は難航します。
一方、「プロファイリング」ではビッグデータの解析によって犯人像を絞り込むことができるため、有力な証拠や目撃情報がなくても早期に犯人を特定して解決に導くことが可能です。
「プロファイリング」はデータ収集から
一般的な犯罪捜査においてはまず証拠品や目撃情報などを集めますが、「プロファイリング」においても同様で、最初にデータを収集します。
データとして収集されるものは、犯行が行われた日時・場所や現場の状況といった客観的なもので、容疑者がリストアップされていた場合でも彼らの属性に関する情報は加えません。
データを解析して犯人像を割り出す
「プロファイリング」では、過去の犯罪から得られた現場情報と犯人の特徴を解析して犯人像を分類しています。
これらの蓄積されたデータと、新たに発生した事件で集められたデータを分析して照らし合わせることで、犯人の身長や性別だけでなく趣味嗜好のほか、性格や生活習慣などまで割り出すことができるのです。
ビジネスでの「プロファイリング」のやり方とは?
顧客の動向は「プロファイリング」で把握できる
検索エンジンの多くはユーザーの検索履歴や位置情報などを「プロファイリング」することで、より効果的な広告やサービスの提供を実現しています。
検索エンジン以外のビジネスでは、webサイトから得られるデータだけでなく実店舗におけるPOSデータなども活用し、顧客の動向を把握しているのです。
売れ筋商品も「プロファイリング」で割り出せる
「プロファイリング」を活用することで、どんな商品が売れるのかを予測することも可能です。よく売れている商品の特性を解析すれば、次にどんな商品が売れるのか、あるいはどんな売り方をすれば販売数が伸びるのかなどを予測することができます。
つまり「プロファイリング」は新商品の開発や販売方法などマーケティング全般にまで応用できるものなのです。
ビジネスで重要なデータマイニング
ビジネスにおける「プロファイリング」で用いられるビッグデータは、情報量が膨大であるだけでなく性質や種類など属性の異なる雑多な情報が集積したものです。
いわばカオスのかたまりのようなビックデータから有益な情報を得るためには、適切なデータマイニングを行う必要があります。データマイニングとは、データの相関関係やパターンなどを抽出することやその手法を指しており、これを誤ると有益な結果は得られません。
「プロファイリング」は転職でも役立つ
転職に際しては、自己分析を行い自分の強みや弱みなどをしっかりと把握したうえで臨みますが、自分のことを客観的に分析することはなかなか難しく、ここで時間を取られてしまうことも多いようです。
しかし「プロファイリング」を自己分析に活用することで、自身の”特徴・長所・短所”などを的確に把握することができます。
まとめ
「プロファイリング」の意味に加え、やり方やビジネスでの使い方について紹介しました。ビッグデータは量が質に転化するものとして知られるものです。
しかし使い方を誤ると、有意義な結果を得られないだけでなく、セキュリティ上の問題にまで発展することもあります。データの解析方法だけでなく、収集方法や管理体制などについても気を配ることが大切です。