「玄人」の意味と正しい読み方とは?類語・対義語や語源も紹介

「玄人」は「プロ」や「エキスパート」という意味合いで使われています。しかし読み方を知らなければ正しく読むことが難しい言葉であり、ほかに隠語的な意味もあるのです。この記事は「玄人」の正しい読み方と意味のほか、語源や類語・対義語なども紹介しており、語句への理解が深まる内容となっています。

「玄人」の意味と読み方とは?

「玄人」の意味は”熟達した人・専門家”のこと

「玄人」の意味は、“ある技能などに熟達した人や職人・専門家”のことです。熟語に用いられている「玄」という文字には”黒色・奥深い”という意味があり、そこに「人」がついてその道を深く追求した熟練者と表す「玄人」という熟語となっています。

「玄人」には特定の業界で働く女性を指す意味も

「玄人」には、芸妓やホステスなどのような水商売や風俗関係の仕事をしている女性のことも指しています。

そのほか、一般人とは縁の薄い賭博関係の業種で名人・達人とされる人に対する尊称としても「玄人」は用いられています。いずれも隠語に近い言葉であるため、公の場面では使わない方がよいでしょう。

「玄人」の読み方は”げんじん”ではなく「くろうと」

「玄人」の読み方は、“くろうと”です。ときどき「くろうど」と読んでいるケースがみられますが、これは誤りです。

「玄」という文字には”くろ”、「人」には”と”という読み方ができることから「くろと」という読み方も可能ですが、一般的ではありません。なお、「玄人」の文字を音読みした”げんじん”という読み方は誤りです。

「バイニン」という読み方なら業界の造語

「玄人」を”バイニン”と呼んでいるケースがあります。この場合は麻雀の世界での専門用語で、凄腕でイカサマも辞さないプロの勝負師のことを指すものです。

「商売人」の略語である「売人(バイニン)」を「玄人(くろうと)」の読みにあてて作られた専門用語で、業界関係者以外の人が「バイニン」という読み方をすることは控えた方が無難といえます。

「玄人」の語源とは?

「玄人」の語源は”黒人(くろひと)”

「玄人」の語源は”黒人(くろひと)”です。平安時代、白塗りをしただけで芸のない人のことを「白人(しろひと)」といっていました。

また、囲碁の対局で下位の人が白い石を打つことから、未熟な人を「白人」といいました。「黒人」はこの「白人」の反対の意味で用いられるようになった言葉です。

「黒人」が変化して”玄人”に

「黒人」の「黒」から「玄」に変化したのは、「玄」に”奥深い”という意味合いがあるためとされています。

「白人」の読み方は時代を経るにつれて、「しらうと」から「しろうと」に変わり、文字も「素人」に変化しました。同様に「黒人」の読みも”くろうと”になり、文字も「玄人」となりました。

「玄人」の使い方とは?

「玄人筋」とは専門家とされる人たちのこと

「玄人筋(くろうとすじ)」とは、ある分野において専門家とされる人々のことを指す広義の意味と、相場において取引所で相場を専門とする人たちのことを指す狭義の意味も持つ言葉です。

取引所の会員(業者)や、長年相場の経験を重ねた老練な投機家の総称としても、「玄人筋」が用いられています。

「玄人はだし」とは専門家が驚くほど優れている人のこと

「玄人はだし」という言葉は、玄人が履物を履くのも忘れてはだしで逃げ出すということを表しているものです。

専門家が驚くほど技術や能力が優れているという意味で用いられる言葉ですが、うっかりプロに対して使うと大変失礼にあたるため注意が必要です。

「玄人」の類語とは?

「達人」とはその道の奥義に達している人

「達人(たつじん)」とは、武芸や学問などその道の奥義に達している人や、物事の道理に深く通じている人のことを表した言葉です。

「達」という文字には、”いたる・行きつく”という意味があることから、「達人」は単に技術や知識が優れているだけでなく、人格的にも立派で尊敬できる人であるケースが多くみられます。

「巧者」とはたくみで手慣れた人やその様

「巧者(こうしゃ)」とは、たくみで手慣れた人やその様のことを指した言葉です。「巧」という文字には”上手・うまい”という意味があり、ここに特定の人のことを表す「者」がついて熟語の「巧者」となっています。

「〇〇巧者」という用法は、あるものごとに対して誰もが認める実力や実績をもつ者を認め讃えるときに使います。

「手練」は熟練した手際よさのこと

「手練」には読み方が3つあり、読み方によって意味が異なります。「しゅれん」と読む場合には、熟練した手際よさや手並という意味です。「てだれ」と読むときには、技芸や武芸などに熟達していることを指します。

「てくだ」と読む場合は、「手練手管」という四字熟語が示すように人をだまして操る方法ということを表し、ネガティブな意味合いとなります。

「玄人」の対義語とは?

「玄人」の対義語”素人”とは経験が浅い人のこと

「玄人」の対義語は“素人(しろうと)”です。その道での経験がまだ浅く、未熟な人のことを表します。そのことを専門にしていない人や初心者のことも指す言葉です。また、水商売や風俗の仕事をしている女性を「玄人」ということに対して、一般の女性のことを「素人」といいます。

「素人離れ」という言葉は、専門家のようで素人とは思えないほどの腕前や手並を持つ人のことで、アマチュアに対するほめ言葉です。

まとめ

「玄人」の正しい読み方と意味のほか、語源や類語・対義語も紹介しました。「玄人はだし」と「素人離れ」を混同している事例をときおり見掛けますが、ほめるつもりの言葉で逆に相手の不興を買ってしまうことになりかねないのでご注意ください。