「清廉」の意味と使い方は?四字熟語「清廉潔白」や類語・反対語も

「清廉」とは、心が清らかで私欲を持たないことです。四字熟語の「清廉潔白」とともに、無欲で清潔なイメージがあります。この記事では「清廉」の意味と使い方をはじめ、「清廉」を含む四字熟語や類語・反対語などを、例文や「清廉」を花言葉として持つ植物ともに紹介しています。

「清廉」の意味と使い方とは?

「清廉」の意味は心清らかで私欲がないこと

「清廉(せいれん)」とは、心が清らかで私欲を持っていないという意味です。「清」という文字は、「清潔」「清浄」という熟語からもわかるように「きよらか」「けがれがない」ということを表したものです。

「廉」には、「いさぎよい」「価格が安い」「無駄がない」「節度がある」など多くの意味があります。「廉」という漢字は、屋根を表す「广」と並んで植えられた稲を手でつかむ「兼」という象形を表した「兼」で構成されたものです。

家屋の直線部分があわさった「角(かど・すみ)」がすっきりと整っていることから「無駄がない」「いさぎよい」という意味を持つようになりました。

「清廉」はセリの花言葉でもある

日本で古くから親しまれている芹(セリ)は春の七草の一つで、「清廉」という花言葉を持った植物です。爽やかな芳香が持ち味で、夏には小さな白い花を咲かせます。

聖徳太子が最も寵愛した妃、菩岐岐美郎女(ホキキミノイラツメ)は別名を芹摘姫といいますが、斑鳩でセリを摘んでいたときに太子に見初められたという逸話があります。

「清廉の士」とは清廉で尊敬に値する男性

「清廉の士」とは、清廉であり尊敬に値する男性を意味する言葉です。フランス革命後期に活躍したジャコバン派を代表する革命家のマクシミリアン・ロベスピエールは、秩序と道徳を重んじる「清廉の士」でした。

しかし、恐怖政治(テルール)によって敵対勢力を次々とギロチンにかけて処刑したことでも知られており、ロベスピエール自身も最終的にはギロチンによって処刑されてしまいます。なお、「テルール」は元々フランス語で「恐怖」のことを指した言葉で、「テロリズム」の語源となっているものです。

「清廉」を使った例文

  • 政治の世界では、清廉さではなく清濁併せ呑む度量がなければ生き残れないようだ。
  • 幼少時より厳格な祖父の薫陶を受けて育った彼は、今どきまれにみる清廉の士だ。
  • 彼女は清廉性の高さが際立っているが、潔癖すぎる傾向もあって近寄りがたい雰囲気だ。

「清廉」が含まれる四字熟語

「清廉潔白」はやましいところがないこと

四字熟語の「清廉潔白(せいれんけっぱく)」は、私利私欲を持たずやましいところがないことを表した言葉です。「潔白」とは清らかで汚れがないことで、「清廉」「潔白」ともに単独で用いられているケースがよくみられます。

加えて、四字熟語を構成している「清」「廉」「潔」「白」すべての文字に「清らか」という意味合いがあります。

「清廉恪勤」は私欲を持たずまじめに勤めること

「清廉恪勤(せいれんかっきん)」とは、心が清らかで私欲など持つことなくまじめに勤めるという意味の四字熟語です。「恪」という文字には「つつしむ、まじめにする」という意味があり、常用漢字ではありませんが人名には用いることができます。

「恪」と読みが同じで見た目も似ている「格」という文字がありますが、書き誤らないよう注意が必要です。

「清廉」の類語・類義語

「廉直」とは私欲がなく正直なこと

「廉直(れんちょく)」は、心が清く私利私欲などなく正直なことやさまを表した言葉です。

「直」という文字には「正しい」「すなお」という意味があり、潔いという意味の「廉」とともに熟語を構成しています。なお「廉直」には「安価」「安易」という意味もあります。

「潔癖」とは不正・不潔を嫌うこと

「潔癖(けっぺき)」は、不正や不潔を極端に嫌うことや性質を表した言葉です。「癖」の訓読みは「くせ」で、人の習性や好み・性質のことを指しています。

不正や不潔は好ましいものではありませんが、必要以上に忌み嫌うことによって対人関係を損なうこともあるようです。

「清廉」の反対語・対義語

「腐敗」とは堕落して悪徳がはびこること

「腐敗(ふはい)」とは、精神が堕落することで悪徳がはびこるなど弊害が生じていることやさまを表した言葉です。

有機物が微生物によって分解され、好ましくない変化を生じることを指しても用いられますが、有用な変化を生じる場合には「発酵」と呼びます。

「退廃」は道徳的気風が廃れた不健全なさま

「退廃(たいはい)」とは道徳的な気風が廃れ、不健全な様子になることです。たとえば、「退廃芸術」として抽象美術や表現主義などがナチスに迫害された歴史もあります。なお「退廃」は、衰えて廃れることを指しても用いられます。

まとめ

「清廉」とは、心が清らかで私利私欲を持たないことを表す言葉です。「廉」という字には、いさぎよさや清いという意味があります。四字熟語の「清廉潔白」は、座右の銘やスピーチなどでもよく耳にする言葉でしょう。類語には「廉直」や「潔癖」、反対語には「腐敗」「退廃」があります。