「気付け(きつけ)」とは、元気がなかったり気を失ったりしている人を回復させることや、そのために使う薬・酒のことです。よく似ている「気付(きづけ)」はビジネスで使う語句で、意味が違います。
この記事では「気付け」の意味や方法のほか、語句の使い方と「気付」との違いについてそれぞれ具体例をあげながら紹介しています。
「気付け」の意味と方法とは?
「気付け」とは「元気づけること、そのための酒」
「気付け(きつけ)」とは、元気づけることや励ますことを表した言葉や、そのための酒のことを指した言葉です。
一般的には元気づけるために飲む酒などを指しており、元気がない相手に「気付けに一杯どうだ」などと声を掛け、酒を飲みながら励ますというパターンがよくみられます。
「意識を回復させることやそのための薬」という意味も
「気付け」には、気を失った人の意識を回復させることや、そのために使う薬・酒という意味もあります。何らかの原因で脳への酸素の供給や血流が低下すると、気が遠くなったり意識を失ったりしますが、血流を改善させることで症状が和らぎます。
このような場合の「気付け薬」としては強心薬などがあります。また、交感神経を刺激する方法も有効で、この場合には興奮剤を飲ませたり、炭酸アンモニウムを嗅がせたりする方法がよく用いられています。
「気付け」は英語で「boost」
「気付け」を英語に訳すと、「励まし」「押し上げ」を表す名詞の「boost」となります。英語の「boost」には、「気付け」のための薬や酒という意味合いはありません。「気付け薬」の英訳としては、「興奮剤」や「アルコール飲料」のことを表す「stimulant」が適切です。
「気付け」の使い方とは?
「気付け」は相手を元気づけたいときに使う
「気付け」は相手を励ますときに使いますが、壮行会や激励会などで人を励ましたいようなときには、「気付け」ではなく「激励」や「鼓舞」を使います。
「気付け」は意気消沈している人を元気づけるものであり、通常より落ち込んでいる状態の人に対して使うものだからです。
動詞の命令形「気付け(きづけ)」と混同しない
「気付け」を書く場合、動詞「気付く」の命令形「気付け(きづけ)」と見た目が同じになります。動詞の命令形は「誤りに早く気付け」のように、文末で使われることが一般的です。書く場合も読む場合も文全体を見て混同しないように気をつけましょう。
「着付け(きつけ)」は同音異字語
「気付け」の同音異字語に「着付け」があります。「着せ付ける」の動名詞で、和服をきちんと着ることや着せることのほか、着こなせることや着慣れていることを表した言葉です。
「着付けをする」「着付けに使う」などは「気付け」と同じ用法ですが、文全体の意味が通らなくなるため、万一誤用があってもわかりやすいでしょう。
「気付け」を使った例文
- 意気消沈している彼のため、気付けに一杯やろうということになった
- 気付けに飲ませた興奮剤が効き過ぎて、今度は眠れなくなってしまったようだ
- これは効果的な気付け薬だが、ドクターストップの判断を誤らせるリスクもある
「気付け」と「気付」の違いとは?
気付とは「相手に関係がある宛先へ送る際の注意書き」
「気付」とは、勤め先や滞在先など相手の住所以外に書簡・荷物を送る際、宛先に書き添える語句です。
受け取る人が、宛先の会社やホテルなどの組織に所属していない場合に「気付」を使います。書き方は、送り先の宿泊施設名や会社名のあとに続けて「気付」と書き、改行して相手の氏名を様付けで記載してください。
実際に「気付」を使用する場面は、出張先の上司に忘れ物や追加資料を送付するようなケースのほか、斎場に香典を送付するようなケースが考えられます。いずれの場合も送付物が相手の元へ確実に届くことが要求されているため、不備のないよう気を配りたいものです。
「気付」は宛名が自分の場合も使える
「気付」は、自分が出張の際に滞在するホテルに宛てて、予め荷物や郵便物を送っておきたいような場合にも使えます。滞在先名に続けて「気付」と記入し、改行して自分の名前を書きますが、「様」ではなく「行」を使うのがポイントです。
□□行
個人宅宛ての場合は「気付」ではなく「様方」
宛先が会社や宿泊施設などではなく個人宅の場合には、「気付」ではなく「様方」を使います。「気付」は個人宅に使うことができないため、うっかり「気付」で送らないように注意が必要です。
□□様
まとめ
「気付け(きつけ)」とは、元気づけや意識をはっきりさせるという意味です。似た言葉の「気付(きづけ)」は、間違いがないように気を付けるという意味があります。送り仮名は省略されがちですが、「気付け」の場合は省略すると意味が違ってくるため注意しましょう。
「気付け」と「気付」は使用場面がまったく異なりますが、いずれも「気」をつける・加えるという意味がベースです。
□□様