「でしょうか」は、ビジネスでも日常でもよく見聞きする言葉です。「よろしいでしょうか」や「~ますでしょうか」という表現はビジネスメールでも使われていますが、文法的に正しいかどうか気になります。
この記事では「でしょうか」の意味のほか、「ですか」との違いや間違いやすい二重敬語などについても紹介しています。
「でしょうか」の意味や敬語とは?
「でしょうか」とは「だろうか」の敬語表現
「でしょうか」は「だろうか」を敬語で表した言葉です。文法的には、断定を表す助動詞「です」の未然形「でしょ」に、推量を表す助動詞の「う」と疑問を表す助詞の「か」が続いたものと説明できます。
「でしょうか」は以下のように、動詞・形容詞・形容動詞などに続けて用いられるものです。
- 来るでしょうか(動詞)
- 暑いでしょうか(形容詞)
- 静かでしょうか(形容動詞)
「でしょうか」の敬語の種類は「丁寧語」
敬語は大きく「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つに分けられます。「でしょうか」は、このなかの「丁寧語」に分類されるものです。「丁寧語」では丁寧な表現を使うことで、相手に敬意を表します。
「でしょうか」の用法とは?
「でしょうか」の用法は問いかけや同意を求める
「でしょうか」は、相手に問いかけるときや同意を求めるときに使われます。たとえば、ビジネスでよく用いられている「いかがでしょうか」は、相手の意見や感想を尋ねるだけでなく、こちら側からの提案に同意を求めるときにも使うことができる、便利な表現です。
「でしょうか」は婉曲的な表現で相手に配慮する
「でしょうか」は、推量の助動詞と疑問の助詞を続けることで、断定的ではない婉曲な言い回しとなっているものです。露骨な表現ではなく、遠回しにそれとなく表現することによって、相手への配慮や控えめさを示すことができます。
特に目上の人に対してお願いしたいような場合、直接的な命令口調ではなく婉曲な表現を用いることをおすすめします。
「でしょうか」のビジネスメールでの使い方
「よろしいでしょうか」は確認を求める言い回し
「よろしいでしょうか」は、ビジネスメールで相手に確認を求める際によく用いられている表現ではないでしょうか。これは「よい」の丁寧な表現「よろしい」に、問いかけや同意を求める丁寧語の「でしょうか」が続いたもので文法的にも正しい言い回しです。
また「よろしかったでしょうか」は、過去のことを尋ねたい場合に使うもので、現在のことにまで使うのは間違いです。
「よろしいでしょうか」への返事は「構いません」
ビジネスメールで「よろしいでしょうか」と尋ねられた場合、「よろしいです」と返信していませんか。実は、「よろしい」には「よい」という意味だけではなく、許容範囲であることや、とりあえず基準は満たしているという意味もあるのです。
そのため、相手が取引先や目上の方である場合には、「よろしいです」は使わない方がよいでしょう。また、「構いません」という意味で「結構です」という言い回しもよく使われていますが、「結構」には「不要である」という意味もあるため、意味の取り違いに注意が必要です。
「いかがでしょうか」は確認や提案に使える敬語
「いかがでしょうか」は用法で紹介したように、上司や取引先にも使える敬語表現です。たとえば、相手の意見を尋ねる場合は「A案で進めようと思いますが、いかがでしょうか」、物事の進み具合を確認したいときは「来週締め切りの○○は、いかがでしょうか」のように使います。
そのほか、相手に何かをおすすめするときや同意を求めたいときなど、幅広く使用できる表現です。
「~ますでしょうか」は二重敬語になるため間違い
「~ますでしょうか」も、ビジネスメールで頻繁に使われている表現です。しかし、「ます」と「です(でしょうか)」が重なる二重敬語に該当するため間違いと言えます。
この場合は、「~ますか」「~ですか(でしょうか)」に言い換えると正しい敬語になります。たとえば「できますでしょうか」は「できますか」「できるでしょうか」に言い換えましょう。
「~ませんでしょうか」も同じく、「ません」は助動詞「ます」の未然形に打消しの助動詞「ぬ(ん)」が続いたもので、二重敬語にあたります。正しくは「~ませんか」「~ないでしょうか」です。
「でしょうか」と「ですか」の違いとは?
「でしょうか」と「ですか」の違いは推量と断定
「ですか」は「でしょうか」から推量を表す助動詞「う」を除いたものです。たとえば、「これです」という断定の肯定文を疑問文に変えたものが「これですか」となります。ここに推量の意味を加えたものが「これでしょうか」です。
つまり、「でしょうか」と「ですか」の意味上の違いは、推量の有無にあると言えます。
「でしょうか」は「ですか」より丁寧な表現
「ですか」と「でしょうか」のいずれも、相手に何かを問いかける際に用いる敬語です。しかし、推量の意味が加わった「でしょうか」は、相手の都合や事情への配慮が遠回しに表されています。
日本語では直接的で露骨な表現は配慮に欠ける失礼な言い回しとされているため、婉曲な言葉遣いをすることでより丁寧な敬語となるのです。
まとめ
「でしょうか」の意味と敬語での用法のほか、「ですか」との違いなどについても紹介しました。「でしょうか」は会話だけでなく、ビジネスメールでもよく使われています。
文章が残るメールでは、会話以上に敬語に気を遣うものですが、敬語の使いすぎは相手に慇懃無礼な印象を与えたり、二重敬語になってしまったりすることがあるため注意が必要です。