「門戸」の意味とは?門戸を開くの使い方や類語「門扉」との違いも

「門戸」には複数の読み方がありますが、名字や地名以外の読み方は特定されています。また、「門戸」には出入り口という意味がありますが、比喩的に使われることが多い言葉です。

この記事では、「門戸」の苗字・地名の読み方や言葉の意味のほか、慣用句と例文、類語なども紹介しています。

「門戸」の意味とは?

門戸とは「家の出入り口」という意味

「門戸」の意味は複数ありますが、ベースとなっているものは家の出入り口のことです。「門」と「戸」のことを表したもので、熟語を構成している両方の文字そのものが、出入り口という意味を持っています。

同じ意味を持った漢字を重ねて用いた熟語には音読みするものがよくみられますが、「門戸」もその一例です。

門戸には「受け入れるための入口」の意味も

「門戸」には、外部からのものを受け入れたり交流したりするための入り口という意味もあります。江戸時代の出島は、鎖国下にあって西洋に向けて開かれた唯一の「門戸」でした。

また、具体的な場所や施設への入り口だけでなく、システムなどへのアクセスのことも、入り口になぞらえて「門戸」と呼びます。

門戸は「入門」や「初歩」を表すことも

「門戸」は、入門や初歩のことを指しても用いられている言葉です。「門戸」が持つ入り口という意味合いから、学問や芸事などの入り口、つまり入門や初歩のことを示すようになった用法といえます。

門戸とは「一流一派」のこと

「門戸」には、一流一派という意味もあります。「門」という文字の「家・一族」や「学問・宗教などの系統」という意味と、「戸」の「家屋」という意味があわさったもので、○○一家や△△派のように使われている事例がみられます。

「門戸」の正しい読み方とは?

「門戸」の正しい読み方は「もんこ」

「門戸」の正しい読み方は「もんこ」です。「門」には「モン」「かど」、「戸」には「コ」「と」のように複数の読み方がありますが、人名や地名以外の用途での「門戸」は「もんこ」と読みます。

漢字二文字で構成された熟語の読み方は、音訓の組み合わせで4通りが可能となるため、正しい読み方を覚えておくことが必要です。

苗字の読み方は「もんど」「もんと」「かど」

「門戸」という苗字もあり、読み方は「もんど」「もんと」「かど」の3通りあります。苗字の場合は読み方が複数あるため、一般的な読み方だからと判断せず、相手にきちんと確認するようにしましょう。

「もんど」は「戸」の読みが濁ったものですが、このような音変化は「連濁」と呼ばれ、発音のしやすさから生じたものです。

「門戸(もんど)」という地名もある

「門戸」と書いて「もんど」と読む事例は、名字だけでなく地名にもあります。兵庫県西宮市には、門戸(もんど)という地名があり、ここにある松泰山・東光寺(高野山真言宗別格本山)の「門戸厄神」は厄除けで名高い神社です。

「門戸」の使い方と例文

「門戸を開く」「門戸開放」は通商・交易の自由化

「門戸を開く」とは、さまざまな制限を取り払い自由に交流できるという意味の慣用句です。通商や交易だけでなく、自治体や一般の団体のほか個人的なものの取り決めを緩和・廃止することを指しても用いられています。

なお、四字熟語の「門戸開放」は「門戸を開く」と同じ意味で、特に港や市場などを諸外国に開放することにより、経済活動の制限を撤廃することを指すものです。

「門戸を開く」と対義的な意味合いを持つ「門戸を閉ざす」は、諸々の制限・禁止によって交流を閉ざすという意味で使われています。

例文
  • これまで民間が参入できなかった分野にも門戸が開かれたことで、消費者の選択肢が増えた
  • 跡取り問題が紛糾して以来、本家は我々分家に対して門戸を閉ざしたきりになっている

「門戸を広げる」とは今より自由度を高めること

「門戸を広げる」は、制約を今より緩和して自由度を高くするという意味の慣用句です。「門戸を開く」や「門戸開放」は、閉ざされていたものを開くという意味合いで使われています。

それに対して「門戸を広げる」では、これまでより緩めるということを指しています。なお、「門戸を広げる」の対義語としては、「門戸を狭める」があります。

例文
  • 対象年齢を下げることでサービス利用への門戸を広げ、ユーザーの利便性を高めたい。
  • セミナーの品質を維持するために、あえて参加資格の門戸を狭めることにした。

「門戸を張る」とは一家を構えること

「門戸を張る」とは、一家を構えることのほか、新たに一流一派を立てることを表した慣用句です。この場合の「門戸」は一流一派を指し、構える・設けるという意味の「張る」とともに慣用句を形成しています。

なお、「門戸を張る」には、家の構えを立派に整えて見栄を張るという意味もあるため、文脈に注意して用いる必要があるでしょう。

例文
  • 彼の流派はかつて家元から分かれて門戸を張ったものだったが、今では家元をしのぐ勢いだ
  • 竜宮城のような門戸を張った伯父の家には、誰もが目を奪われてしまうだろう

「門戸を成す」は一家や一派を興すこと

「門戸を成す」は一家や一派を興すことを表した慣用句で、「門戸を張る」と似た意味を持っています。

出典は中国南朝の梁の歴史を記した歴史書『梁書』のなかに登場する武将・王茂についての記述、「王茂伝」です。ほかにも「門戸を立てる」や「門戸を構える」などの慣用句が、同様の意味で用いられています。

「門戸を叩く」とは訪問すること

「門戸を叩く」は相手を訪ねていくことや、訪問して弟子入りを願い出ることを指して用いられている言い回しです。「門を叩く」と同じ意味合いですが、「門戸を叩く」のほうが改まったニュアンスを表すことができます。

「門戸」の類語とは?

「一派」とは元のものから分かれた一つの流派

「一派」とは、学問や宗教、技芸などにおいて、元のものから分かれたひとつの流派を示した言葉です。ほかに、同じ目的や主義主張を持つ人々のグループを指しても使われており、「一派を立てる」や「一党一派」などの用法があります。

「門戸」と「門扉」の違いは比喩の用法があるか

「門扉(もんぴ)」とは、門の扉のことです。外に向けられた家の顔ともいえるもので、訪問者に与える住居の印象を大きく左右します。

「門戸」も同じく人が出入りする場所を表しますが、「門扉」との違いは比喩的な用法がなく、門の扉そのものだけを指して使われるものです。

まとめ

「門戸」の正しい読み方と意味のほか、苗字や慣用句・類語も紹介しました。苗字・地名以外の「門戸」の読み方は「もんこ」が正解です。「門戸」は文字通り門と戸のことを表した言葉ですが、入り口という意味合いから転じた慣用句が多くあります。「門戸を開く」とは、門そのものを開くのではなく、自由に入れるようにするという意味で使うのが一般的です。