「鴇色」とはどんな色?カラーコードやサーモンピンクとの違いも

「鴇色」とは日本の伝統色で、「黄色がかった薄いピンク」や「淡い桃色」と表現されます。特に女性に人気があり、着物などに使われていました。「鴇色」の由来やカラーコード・RGBを紹介しましょう。英語表記や「朱鷺色」などの別表記もお伝えします。

「鴇色」とはどんな色?

「鴇色(ときいろ)」とは薄いピンク色

「鴇色(ときいろ)」とは、黄色がかった薄いピンクです。「薄い桃色」や「うすもも色」と表現されることもあります。色彩規格では「明るい紫みの赤」とされますが、紫の色味が強調されることはあまりありません。古い時代には「鴇羽色(ときはいろ)」と呼ばれていました。

「鴇」とは鳥の名前です。詳細は後ほど説明しますが、色の由来になった鳥です。

「鴇色」は「朱鷺色」「桜花鳥色」とも

「鴇色」には、同じ読みの別表記があります。「朱鷺色」と「桜桃鳥色」です。「鴇」の別表記である「朱鷺」「桜桃鳥」が、そのまま色の名前にも使われています。ただし「桜桃鳥」に関しては「とき」ではなく「おうとうちょう」と読む説があります。

江戸時代の書物では「時色」と書かれることもありました。これは鳥の名前とは無関係のため、当て字だと考えられます。

「鴇色」のカラーコードとRGB・CMYK

鴇色のカラーコードは統一されていません。「#F3A696」「#F5C9C6」などが使われています。

ディスプレイで使うRGB・印刷物で使うCMYKも、統一された値はありません。RGMは「243、166、150」や「249、161、208」が見受けられます。CMYKは「00、45、34、0」「0、35、16、2」などです。

「鴇色」は3月3日のバースデーカラー

「鴇色」は3月3日のバースデーカラー(誕生色)になります。色言葉は「精神的恋愛」「礼儀」「あでやかさ(なまめかしいことや、美しいことの意味)」です。また、朱鷺色がバースデーカラーの人の特徴は「愛されていることを知ると、美しく輝く人」だとされています。

「鴇色」の補色はアクアマリン色

鴇色の補色はアクアマリン色のような、淡い青緑です。エメラルドグリーンを薄くした色も補色になります。鴇色自体が固定された色ではないため、補色も1つの色に定められません。

補色はお互いを引き立たせるため、明度を調整すれば「似合う組み合わせ」になると言われています。しかし、鴇色の場合は補色ではない白系統の色が合うという考えもあります。由来になった鳥の鴇が、白と桃色の翼を持つためです。

「鴇色」の由来や意味とは?

「鴇色」の由来はトキ科の鳥

鴇色の由来は、ペリカン目トキ科の鳥です。全体的には白い羽根の方が多いのですが、羽の内側がピンク色になっています。羽を広げるとピンクの羽根が見えやすいでしょう。ただし、実際の鴇の羽根は鴇色より黄色みが強く、朱色に近い色合いです。

かつての鴇は数が多く、田畑を荒らす鳥害が問題になる時代もありました。しかし、乱獲や環境破壊で急激に個体数が減り、一時期は世界に数羽しかいない状況になってしまいます。保護活動により回復しつつあるものの、現在も絶滅危惧種に数えられています。

「鴇色」は着物にもよく使われる

鴇色は江戸時代から使われている色です。女性の着物の色として愛用されており、その人気は現在も続いています。

当時、鴇は頻繁に見られる鳥でした。そのため、「鴇色」は多くの人が連想しやすい、一般的な色だったと考えられています。

「鴇色」は「若々しい女性」を意味することも

文学で鴇色を使う場合、ただ色を表すだけではなく「若々しい女性」を象徴する意味になることもあります。例えば、女性の顔色が良いことを形容したり、女性の服やリボンの色に使われています。

「鴇色」と似た色との違いとは?

「桜色」と「桃色」の間が鴇色とされる

鴇色と似ているけれど濃淡が違う色が「桜色」と「桃色」です。鴇色は間に位置するとされています。

「桜色」は桜の花、「桃色」は桃の花を由来に持つ色で、鴇色と同じく薄いピンクです。「桜色」は鴇色より薄くなっています。「桃色」は鴇色より濃いことが一般的ですが、ほぼ同じ色だと考える人もいます。

「サーモンピンク」は鴇色より橙色が強い

「サーモンピンク」とは焼いた鮭の身が由来になった色で、ややくすんだピンク色をしています。鴇色と違い、橙色がかっているのが特徴です。

「東雲色」「曙色」は同じ色とされていた

「東雲色(しののめいろ)」とは橙色がかったピンク色で、別名「曙色(あけぼのいろ)」です。朝焼けに浮かぶ雲の色に由来しています。

江戸時代の書物では、鴇色と東雲色は同じ色として扱われていました。しかし、現在よく使われる色で比べると、東雲色の方が橙色に近くなっています。

「鴇色」に関係する雑学

「鴇」は秋の季語として使われる

鴇色の由来になった「鴇」は、秋の季語です。かつては、越冬のために秋に飛来する鴇の姿が一般的に見られたことが、季語に選ばれた理由だと考えられます。

現在は鴇がなかなか見られないため、鴇そのものよりも「鴇色」の方が俳句に使いやすいでしょう。

「鴇色」の英語表現は「light pink」

鴇色の英語表現に向いているのは「light pink」です。カタカナ語「ライトピンク」として日本でも使われる色名です。薄いピンクを表すのですが、厳密な定義がなく広い範囲の色が「ライトピンク」に含まれます。

まとめ

「鴇色」は、鴇の羽根が由来になった日本の伝統色です。そのため、鴇のカラーリングを連想させる白系統との組み合わせが良いとする人もいます。また、「鴇」が秋の季語のため、「鴇色」を俳句に使うのも良いかもしれません。

※その他の「日本の色」に関する記事はこちら:
「日本の色」とはどんな色?13種類の意味・カラーコードのまとめ