「気にかける」とは心に留めることで、自分が誰かに関心を寄せたり誰かが自分のことを気に留めたりするときに使います。ビジネスでは、敬語表現や別の言葉で言い換えたりすることが多いようです。この記事では、「気にかける」の意味のほか、ビジネス向けの言い換えや「心配する」との違いについても紹介しています。
「気にかける」の意味と使い方とは?
「気にかける」の意味は”心に留めること”
「気にかける」の意味は、“心に留めてあれこれ考えることや、気遣ったりすること”です。日常会話でもよく見聞きする言葉で、自分が第三者に対して関心を寄せたり、誰かが自分のことに対して心を留めたりしているときに使います。
「気にかける」はものにも使うことができる
「気にかける」は、相手のことをあれこれと気遣うことを指して使われることが多い言葉です。しかし、「会社の将来を気にかける」や「費用を気に懸ける」など、人だけでなくさまざまなものに対して、心に留めて思いを巡らせるようなときにも使うことができます。
「気にかける」を使った例文
「気にかける」を使った例文をご紹介しましょう。
- 先輩は至らない私を気にかけて、あれこれと世話を焼いてくれている。
- 私は子供たちのことを気にかけるあまり、過保護になっているようだ。
- 彼は日本の未来より先に、自分の会社のことを気にかけるべきだろう。
「気にかける」の漢字表記とは?
「かける」は漢字で”掛ける”
「気にかける」を漢字で書くと、”気に掛ける”です。「掛ける」は「引っかける」のほか、「(時間や労力を)費やす」や「受け持つ」という意味合いがあり、第三者に対して関心を払い続けることを指した「気にかける」を表記するときに使われています。
「かける」は”懸ける”と書くことも
「気にかける」は、”気に懸ける”と書くこともあります。「懸ける」には「吊り下げる」のほか、「離れないようにする・つなぐ」という意味合いを持つ言葉です。
相手のことから気持ちが離れずに、関心を持ち続けるという意味合いですが、「懸ける」より「掛ける」を用いることの方が一般的です。
「気にかける」の敬語表現とは?
「気にかける」の丁寧語は”気にかけます”
敬語には大きく分けて以下の3つがあります。
- 尊敬語:相手を立てるときの表現で、相手の行為に対して使うもの
- 謙譲語:自分がへりくだるときの表現で、自分の行為に対して使うもの
- 丁寧語:場や聞き手に対する丁寧な表現
丁寧語は通常、「ます」「です」「ございます」など丁寧の助動詞や、丁寧さを加える接頭辞「お」「ご」を使って表現するもので、「気にかける」は「(お)気にかけます」となります。
「気にかける」の敬語表現は”お気にかけてくださる”
「気にかける」の敬語表現は、「お気にかけてくださる」です。「くださる」は「くれる」の尊敬語で、相手から自分に対しての行為に対して使う敬語表現です。
ビジネスシーンでもよく用いられており、お得意様に対して「いつもお気にくださりありがとうございます」というように表現します。
「お気にかけていただく」も「気にかける」の敬語表現
「気にかける」の敬語表現として、「お気にかけていただく」もあげられます。「いただく」は「もらう」の謙譲語で、「気にかける」という相手の行為を受け取ることに対して使うものです。
「お気にかけてくださる」と「お気にかけていただく」は、相手が自分に対して気にかけているという点で同じですが、「くれた」「もらった」のいずれにポイントを置くかによって使い分けます。
ビジネスでの「気にかける」の言い換えとは?
「気遣い」とは思いやること
「気遣い(きづかい)」は、気を使うことや思いやることを指した言葉です。ビジネスシーンでは、「お気遣い、痛み入ります」や「お気遣いいただきありがとうございます」というように、相手が気を使ってくれたことへの感謝を伝えるときによく用いられています。
また、「彼は周囲への気遣いを怠らない人だ」というような用法もあります。ビジネスの場では、「気にかけていただき」や「周囲のことを気にかける」というより、「気遣い」を用いた方がふさわしいでしょう。
「配慮」とは心遣いのこと
「配慮(はいりょ)」とは、気を配ることや心遣いのことを指した言葉です。「ご配慮いただきありがとうございます」というように、相手からの気遣いに感謝するときに使います。
また、「ご配慮をお願いします」というように、周囲への気遣いや状況を察するようにお願いするときにも使えます。なお、「気にかける」には相手に対して気遣いをお願いするような用法はありません。
「心配する」と「気にかける」との違いとは?
「心配する」はこれからのことを不安に思うこと
「心配する」は、これから起きることに対して不安に思うことを指した言葉です。「子供の将来が心配だ」は、子供の身にこれから何が起きるのかと不安に思うことを表しており、あまり良くないことが想起されるときに使います。一方「気にかける」は、目を掛けるといった意味合いもあります。
「心配する」には”心を配る”という意味も
「心配する」には、”食事の心配までしてもらう”というように心を配るという意味で使うこともあります。
「心配」は「心配り」を音読したもので、本来は気にかけるという意味でしたが、成り行きが気に掛り思い煩うという意味で使われるようになりました。現在では不安に思うという意味で用いられることが一般的です。
まとめ
「気にかける」の意味のほか、言い換えや「心配する」との違いについても紹介しました。「気にかける」は関心を持つ、気に留めるという意味で使いますが、この先どうなるのかと思いを巡らせるという、「心配する」と同じ意味合いで使うこともできます。ビジネスシーンでは、「気遣い」や「配慮」もよく使われます。