日本酒のラベルにはよく「日本酒度」が記載されていますが、この数値の意味をご存じでしょうか?実は日本酒の辛口・甘口を判断するうえで、「日本酒度」は大いに参考となるものなのです。この記事では、「日本酒度」の意味と計算方法のほか、「日本酒度」と辛口・甘口などの味わいや酸度との関係も紹介しています。
「日本酒度」の意味と計算方法とは?
「日本酒度」とは清酒の比重を表した単位
「日本酒度(にほんしゅど)」は、清酒の比重(同じ体積の4℃の純粋な水を基準とした質量比で表されるもの)を表した単位のことです。
「日本酒度」は15℃の清酒に日本酒度計を浮かせて測定し、比重1のものが0となります。それより軽い場合の「日本酒度」はプラス、重い場合はマイナスの値となるのです。ちなみに15℃の純粋な水は4℃のものより比重が軽いため、「日本酒度」は0ではなくプラスの値となります。
なお、清酒とは酒税法において定義されるもので、日本酒のうちアルコール度が22度未満で、原料を発酵させてできた醪(もろみ)をこしたものを指しますが、一般的に「清酒=日本酒」と認知されているため、これ以降「日本酒」という用語で統一します。
「日本酒度」の計算式と基準値
「日本酒度」は、以下の計算式で表されます。
日本酒の比重は主に糖分とアルコール分に左右されるもので、糖分が多くなれば比重は大きくなり、アルコール度数が高くなると比重は小さくなります。つまり糖分が多い日本酒ほど「日本酒度」はマイナス、アルコール度数が高い日本酒ほど「日本酒度」はマイナスの側へ傾くのです。
このことから「日本酒度」は日本酒の味を知るために役立つひとつの基準となっており、「日本酒度」の数値がプラス方向に大きければ、より辛口の日本酒であると判断できます。
以下は、「日本酒度」の数値と味わいの目安です。
- +6.0以上:大辛口
- +3.5〜+5.9:辛口
- +1.5~+3.4:やや辛口
- -1.4〜+1.4:普通
- -1.5~-3.4:やや甘口
- -3.5~-5.9:甘口
- -6.0以上:大甘口
「日本酒度」の度数ランキングは?
辛口では+20度あたりが最高値
日本酒ファンの間では辛口が人気ですが、一般的な辛口は+4~+7くらいの数値です。+15を超えるとかなり辛口の味わいとなりますが、+20を超える超辛口酒も存在します。
日本酒の製造過程では、米のデンプンが麹菌によって糖分に分解し、その糖分がさらに酵母によってアルコールに発酵されます。
製造工程を経るにつれ糖分が減り、アルコールが増えていくのですが、アルコール度数が高くると酵母が死滅してそれ以上発酵が進まなくなる関係上、プラス値は20度あたりが上限となるのです。
甘口では-100の超甘口も
「日本酒度」のプラス値に比べ、マイナス方向の数値は大幅に大きなものがあります。「日本酒度」をマイナス方向に高めるためには、麹の量を増やしたりアルコール度数を下げたりする方法が一般的です。
また、通常の「三段仕込み」にもう一段仕込みを追加する「四段仕込み」を行ったり、「三段仕込み」の最後に行う「留添」で水の代わりに日本酒を使用したりするなど、さまざまな方法があります。
「日本酒度」と酸度との関係とは?
日本酒の甘辛には「酸度」の影響が大きい
「日本酒度」は比重を表したものですが、糖分とアルコール度数だけで日本酒の甘口・辛口が決定されるものではありません。
日本酒に含まれる糖分には甘味を感じにくいものが含まれていることに加え、酸の量によって甘味を感じにくくなるためです。したがって、日本酒の甘辛を判断する際には、「酸度」も見落とせない要因となります。
「酸度」が高いほど濃淳辛口な味わいに
日本酒は製造の過程で、コハク酸・リンゴ酸・乳酸などの有機酸が生じます。「酸」という文字から酸っぱい味がイメージされることが一般的ですが、日本酒においては酸味以上に旨味やキレを感じさせるものです。
「酸度」が高いほど甘味が打ち消されて辛口となり、濃淳でキレの良い味わいとなります。逆に「酸度」が低いと甘口に感じられ、淡麗な味わいとなります。
「酸度」の算出は中和に必要なアルカリの量から
日本酒の「酸度」は、酸の中和に必要なアルカリの量から算出されます。算出は、日本酒10mlに含まれている酸を中和するために水酸化ナトリウム溶液を用いて行われ、数値はおおむね0.5~3.0程度です。
味わいの目安は一般的に「酸度」1.4から1.6を中心に、それより高ければ濃淳辛口、低ければ淡麗甘口に分類されています。
まとめ
「日本酒度」の意味と計算方法のほか、辛口・甘口や酸度との関係も紹介しました。日本酒の辛口・甘口を判別する際、「日本酒度」と「酸度」は大きな目安となります。
しかし日本酒は、温度や酒器の違いなどによっても味わいがさらに変化するなど、奥の深さが楽しめるものです。「日本酒度」の表示を手掛かりに、好みの味わいを追及されることをおすすめします。