冷やした日本酒をグラスで飲むことが主流となっていますが、温度が変わると味わいも大きく変わることをご存じですか?この記事では、日本酒の飲み方について、冷やと冷酒の違いや種類ごとのおすすめの温度のほか、ロック・水割りなど日本酒の新しい楽しみ方や盛りこぼしのスマートな飲み方まで幅広く紹介しています。
日本酒のいろいろな飲み方
日本酒は温度を変えて楽しめるお酒
日本酒は温度によって違った味わいを楽しめる、世界でもまれなお酒です。それぞれの温度帯には以下のような名称があります。
- 55℃前後:飛切燗(とびきりかん)
- 50℃前後:熱燗(あつかん)
- 45℃前後:上燗(じょうかん)
- 40℃前後:ぬる燗(ぬるかん)
- 35℃前後:人肌燗(ひとはだかん)
- 30℃前後:日向燗(ひなたかん)
- 20〜25℃前後 冷や(ひや)
- 15℃前後:涼冷え(すずびえ)
- 10℃前後:花冷え(はなひえ)
- 5℃前後:雪冷え(ゆきひえ)
「冷や」は冷やした日本酒のことではない
日本酒の「冷や」は常温で飲むお酒を指し、混同されがちな「冷酒」は冷蔵庫や氷で冷やしたもののことです。
冷蔵庫がなかった時代には、日本酒はお燗して飲む「燗酒」か常温のまま飲む「冷や酒」かしかありませんでした。現在もその名残りで、常温の日本酒のことを「冷や」と呼んでいます。
日本酒の種類別おすすめの温度帯
日本酒の種類は8つ
日本酒は、原料や製造方法によって区分されており、要件の組み合わせで以下の8つに分類されます。
- 吟醸酒
- 大吟醸酒
- 純米酒
- 純米吟醸酒
- 純米大吟醸酒
- 特別純米酒
- 本醸造酒酒
- 特別本醸造酒
まずは醸造アルコールを使用するか否かによって、本醸造系と純米系に分けられます。名称に「純米」とあれば、醸造アルコールを使用せず米と米麹だけで作られている日本酒です。
続いて精米歩合によって大吟醸系・吟醸系・その他に分けられます。精米歩合が50%以下であれば「大吟醸酒」、60%以下なら「吟醸酒」です。
「純米酒」には精米歩合の規定はないのですが、「特別純米酒」の場合は60%以下でなければなりません。また「本醸造酒」は精米歩合70%以下、「特別本醸造酒」は60%以下と規定されています。
吟醸系は冷やして飲むのがおすすめ
お好みに応じて温めても冷やしても楽しめる日本酒ですが、香りが高くフルーティーな味わいの吟醸酒や大吟醸酒は、冷やして飲まれることが多いお酒です。
とくにリンゴ酸が多いものは、冷やすことでいっそう味が引き立ちます。また甘口の日本酒も、ワイン感覚で冷やして飲まれることが多いようです。
冷やして飲むならロックや水割りも
日本酒を冷やして飲むなら、オン・ザ・ロックや水割りも試してみたい飲み方です。特にアルコール度数が高い原酒や濃厚な熟成古酒などは、ロックや水割りにすることで飲みやすくなります。
また甘口の日本酒は、炭酸水で割ってもおいしくアレンジできます。ロックや水割り、炭酸割などは従来にはなかった飲み方ですが、日本酒の新しい楽しみ方といえるものでしょう。
燗酒には純米酒がおすすめ
純米酒は香りこそ控えめですが、旨味やコクがしっかり味わえる日本酒です。温めることで味のふくらみが増す(燗上がりする)ため、燗酒には純米酒が好まれています。
また、温めると甘味が強く感じられることから、辛口の日本酒も燗酒に向いているといわれています。
盛りこぼしや升酒の飲み方
盛りこぼしはお店のサービス精神の表れ
「盛りこぼし」とは、升やお皿などに乗せたグラスからあふれるまで日本酒を注いだもので、「もっきり」とも呼ばれています。
「盛りこぼし」はもともと日本酒を量り売りしていた時代の習慣で、それがお店のサービス精神の表れとして今に続いているものです。
盛りこぼしを飲むコツはこぼさないこと
盛りこぼしの飲み方に正式なマナーはなく、こぼさないように飲めばよいとされています。一般的な飲み方は、まずグラスから先に口を付け、半分くらい飲んだところで升やお皿の日本酒をグラスに注いで飲むという方法です。
一方、あふれそうになっているグラスの日本酒を升に少しあけて、升のほうから先に飲んでしまうという方法もあります。
升酒は平らなところから飲むのが正解
盛りこぼしだけでなく、鏡開きなどの場でも升酒を飲む機会があります。升酒を飲むときには、升の平らな部分に口を付けるのが正しいとされています。
しかし升はそもそも日本酒を飲むための器として作られたものではないため、平らな部分からこぼさずに飲むことは難しいものです。升で日本酒を飲むときは、無理をせず角から飲んだ方が安全でしょう。
まとめ
日本酒の種類別の飲み方について、種類ごとにおすすめの温度帯や盛りこぼしの飲み方についてのマナーなども紹介しました。
日本酒は、温度の違いで味わいが変化することが特徴です。温度を変えて飲むことによって、一本の日本酒がさまざまな味わいを見せてくれます。記事を参考に、これまでとは違うさまざまな飲み方をぜひお試しください。