日本酒の甘口とは?辛口との見分け方や飲みやすさの理由も紹介

日本酒の味に関する言葉でよく耳にするのが「甘口」「辛口」ですが、飲まなくてもわかる見分け方があります。また「甘口」には、飲みやすさのほかにも「辛口」とは違った魅力があるのです。

この記事では日本酒の「甘口」とはどういうものかについて、また「辛口」の見分け方や飲みやすさの理由なども紹介しています。

日本酒の甘口の特徴とは?

日本酒の甘口はフルーティーで飲みやすい

日本酒の甘口には、フルーティーで飲みやすいものが多くみられます。アルコール度数の低いものやシャンパン感覚で飲めるスパークリングタイプもあり、フレンチのアペリティフのように、軽いピンチョスやフィンガーフードを添えての食前酒としておすすめです。

甘口の日本酒は安いとは限らない

かつて安値で販売されていた日本酒は、糖とアルコールを添加・増量し「甘くした日本酒」という印象でした。そのためか、今でもまだ甘口の日本酒は安物だと思われる傾向があります。

現在販売されている甘口の日本酒の価格帯は、高級品からスーパーで手に入るお手頃のものまでさまざまあります。たとえば、全量純米大吟醸の蔵として知られる、楯の川酒造の「楯野川 純米大吟醸 十八」は1本10,000円以上のプレミアム酒です。

日本酒の甘口と辛口の違いとは?

辛口の日本酒は甘くないだけ

日本酒は酒米のでんぷんを麹菌の働きで糖に変え、酵母がその糖をアルコールに変えることでできあがります。

できあがった日本酒の糖の量でおおむね甘口・辛口に分かれますが、辛口の日本酒にも糖は含まれており、甘口に比べると辛口は甘くないというのが正解です。

甘口・辛口の見分け方は日本酒度が目安

日本酒の甘口・辛口を見分けるためには、「日本酒度」という基準が目安となります。「日本酒度」は日本酒の比重を表したもので、糖が多い場合は数値がマイナス、少ない場合はプラスで表されるものです。

一般的に「日本酒度」がマイナスだと甘口、プラスだと辛口になるとされており、以下のように分類されています。

日本酒の甘口・辛口の目安
  • 大辛口:+6.0以上
  • 辛口:+3.5〜+5.9
  • やや辛口:+1.5〜+3.4
  • 普通:−1.4〜−1.4
  • やや甘口:−1.5〜−3.4
  • 甘口:−3.5〜−5.9
  • 大甘口:−6.0以上

甘口・辛口は酸度やアルコール度にも左右される

日本酒の甘い・辛いは、日本酒度だけでは決められません。日本酒の製造過程では、コハク酸やリンゴ酸などの酸が発生します。

これらの含有量を数値化したものが「酸度」で、「酸度」が高いと甘味を感じにくくなるのです。加えてアルコール度が高い場合も甘味を感じにくくなります。

甘口・辛口は香りによっても変化する

糠を多く削り取った酒米を低温で発酵させると、「吟醸香(ぎんじょうこう)」と呼ばれるリンゴやメロンのような、華やかで甘い香りが発生します。

「吟醸香」は大吟醸酒や吟醸酒を特徴づけるものですが、甘い香りの日本酒は実際より甘く感じられる傾向があるのです。一方、精米を抑えた酒米で造った日本酒の香りは、おだやかになる傾向があります。

甘口の日本酒の選び方・飲み方とは?

甘口の日本酒は食前や食後に飲む

甘口の日本酒は、カクテルやシャンパンの感覚で飲むことをおすすめします。料理に合わせるより食前酒や食後のデザートとともに味わった方が、甘口の日本酒の良さが引き立つといえるでしょう。

しかし甘口でも酸度が高かったり、爽やかな味わいがあったりする日本酒であれば、白ワイン感覚で食中酒として楽しむこともできます。

甘口は日本酒初心者にもおすすめ

甘口の日本酒は、飲みやすいといわれています。その理由は、アルコール度数が低いものやスパークリングタイプのものが多く、白ワインやシャンパンのようにフルーティーで甘酸っぱい味わいを楽しめるからです。

そのため、日本酒の初心者やアルコールにあまり強くない方には甘口の日本酒がおすすめといえます。香りが高い日本酒の場合は、酒器にワイングラスを用いるといっそう香りが際立ちます。

また、日本酒は温度によって味わいが変化するものです。冷やすほど甘さを感じにくくなるため、キンキンに冷やすと爽やかでキレのある味わい、控えめに冷やすと優しい甘みが楽しめます。

超甘口は日本酒度マイナス100近くも

先に紹介した「日本酒度」では、-1.5あたりから甘口に分類されています。日本酒の製造工程が進むにつれて、酵母の働きで糖が減りアルコールが増えていきます。しかし、アルコール度数が高くなると酵母が死滅してしまうため、それ以上発酵が進まなくなるのです。

そのため、プラスの上限値は通常20度あたりで頭打ちとなりますが、マイナス方向の数値としては100近くのものまで幅広くあります。

まとめ

日本酒の甘口と辛口について、見分け方やさらに楽しむためのシチュエーションなどを紹介しました。日本酒の味わいは、温度のほか味覚における好みによって違ってきますが、ラベルに記載された数値は甘口・辛口の目安として役立つものです。

日本酒を飲むときはラベルから味をイメージし、実際に飲んだときの味を比べてみるのも一興でしょう。