「節句」とはいつのこと?意味・由来と「節供」との違いも紹介

「節句」とは、季節の節目の日のことで、男の子・女の子のお祝いをする「端午の節句」「桃の節句」は現在も続いています。漢字表記は「節句」が一般的ですが、本来は「節供」と書いていました。

この記事では「節句」の意味や一覧、現在も名残をとどめる由来のほか、「節供」「二十四節気」との違いなども紹介しています。

「節句」とはいつのこと?

「節句」の意味は季節の節目の日のこと

「節句(せっく)」とは、季節の節目となる日です。「節」とは唐代の中国で暦として定められたもので、かつては数多くの「節句」がありました。時代を経て徐々に整理され、江戸時代に幕府が特に重要な節句として5つを式日として制定しました。

「節句」の一覧

  • 1月7日:七草の節句(人日の節句)
  • 3月3日:上巳(じょうし)の節句・桃の節句
  • 5月5日:端午(たんご)の節句・菖蒲の節句
  • 7月7日:七夕(しちせき)の節句・星まつり
  • 9月9日:重陽(ちょうよう)の節句・菊の節句

男の子の節句は「5日5日」、女の子の節句は「3月3日」

今でも、節句は子どもたちの成長を祝う行事として定着しています。5月5日の端午の節句は男の子の記念日です。男の子の健やかな成長を願って、兜や弓などの五月人形や鯉のぼりを飾ります。

3月3日の上巳の節句(桃の節句)は女の子のためのひな祭りで、雛人形を飾ります。

「節句」の由来は「陰陽五行説」

「節句」の由来は古代中国発祥の「陰陽五行説」で、日本へは奈良時代に伝わりました。「陰陽五行説」は、ものごとを「陰」と「陽」に分けて考える「陰陽思想」と、自然界の成り立ちを「木・火・土・金・水」とその循環から考える「五行思想」の2つが合わさったものです。

「五節句」はいずれも奇数が重なる日であり、奇数(陽)が重なって偶数(陰)に転じることから、宮中で邪気祓いの行事がされるようになりました。なお、七夕の笹飾りに使う短冊の色は本来「青・赤・緑・金・紫」でしたが、これは「五行思想」が反映されたものです。

現代の「節句」はどんなもの?

現代にも残る「五節句」

江戸時代に式日となった「五節句」は、明治6年に廃止されました。これは太陰暦から太陽暦に変わったことを受けたものです。現代では「五節句」のうち端午の節句のみ祝日となっていますが、他の節句も季節の年中行事として定着しています。

節句にはそれぞれ七草、桃、菖蒲、竹(笹)、菊を用いて邪気祓いが行われていましたが、今でも5月5日の菖蒲湯や7月7日の笹飾りなどに、その名残を見ることができます。

現代も盛んな「初節句」や「七夕」

「五節句」のなかでも、3月3日の「上巳(桃)の節句」と5月5日の「端午(菖蒲)の節句」、7月7日の「七夕の節句」は、現在も盛んにおこなわれています。特に子供が生まれて初めて迎える「節供」は、「初節句」として特に盛大なお祝いが行われているようです。

なお、太陽暦に変わってからも日付は太陰暦のときのものが用いられています。そのため実際の季節には合わなくなっており、「七夕」を8月7日やお盆の頃に行っている地方も少なくありません。

「節句」と「節供」との違いは?

もともとは「節供」が正しい表記

現在「せっく」は「節句」と表記されることが一般的ですが、もともとは「節供」が正しいものでした。「節供」と書かれていたのは、季節の変わり目にあたる節日(せちび)に供御(くご)を奉じることを習わしとしていたことによるものです。

現在、「節句」にお供え物をすることは少なくなっていますが、七草粥や粽、菊酒のようにその季節の旬のものを用いる習慣は守られています。

御節料理は供御の名残り

供御とは神様にお供えする食べ物のことで、初物や旬のものを神様にお供えし、そのお下がりを皆で頂くというものです。

この「節供」のために用意する食べもの全般が「御節」でしたが、現在はお正月に食べるものだけを御節(おせち)料理とよび、七草粥などは御節とよばなくなっています。

「節供」が「節句」に変わった理由は不明

「節供」から「節句」への移行が多くみられるようになったのは、江戸時代からです。もともとは宮中行事であった「節供」でしたが、江戸時代になると庶民にも広がっていきました。それにともない「節供」が祭事としてではなく、季節の区切りとしての意味合いが強くなっていったのです。

「節供」が「節句」に変わった明確な理由は不明ですが、「節供」の意味合いが「お供え」から「区切り」に変化したことを受けて「節句」と書かれるようになったと推測されます。

「二十四節季」と「節句」の違いとは?

「二十四節気」は農業に必要な基準

「二十四節気」とは、季節を24に分けたものです。地球から見た太陽の通り道を15度おきに分割し、それぞれに節気をあてはめています。

「二十四節気」は、農業を行う上で必要となる季節や天候を知るために決められたものです。一方「節句」は、季節の変わり目に行う祝祭の日です。二十四節気の1番目にあたり春の始まりとされる立春のほか、春分や秋分など現在もなじみ深いものです。

「二十四節気」は日付が決まっていない

「二十四節気」は、「節句」のように日付で決めたものではありません。太陽の通り道を24に分けた点を太陽が通過するときがそれぞれの節気にあたります。

加えて地球が太陽を一周する日数は正確には365日ではないため、節気は毎年同じ日になるとは限らないのです。たとえば春分の日の場合、3月20日もしくは21日というように年によって変化します。

まとめ

「節句」の意味・由来のほか、「節供」「二十四節気」との違いなども紹介しました。温暖化や農業技術の進歩などにより季節感が薄れている昨今ですが、「節句」には従来の季節感を取り入れた行事が行われています。

残念ながら祭日は5月5日のみとなっていますが、七夕には全国各地で盛大なお祭りが行われるなど、季節の風物詩としてこれからも大切に守られていくでしょう。