「ミミズク」は、耳のように見える羽が特徴的なフクロウの仲間です。大きな瞳とくるくると首を回す動作が愛らしいことから、縁起物としてだけでなくペットとして人気も高まっています。この記事では、「ミミズク」がどんな鳥かについて、名前の由来やコノハズク・フクロウとの違いなども含めて紹介しています。
「ミミズク」はどんな鳥?
「ミミズク」はフクロウ目フクロウ科の鳥
「ミミズク」はフクロウ目フクロウ科に分類される猛禽類で、耳のような羽角(うかく)と呼ばれる羽毛が特徴的です。
「ミミズク」の仲間はワシミミズクやオオコノハズクなどのように、名前が「~ズク」で終わっていますが、アオバズクは羽角がなく、分類もフクロウ目フクロウ科アオバズク属で「ミミズク」とは異なっているものです。
また、ウサギフクロウやシマフクロウのように、「ミミズク」とは呼ばれていないけれど羽角があるものもいます。
国内の野生「ミミズク」は6種類
日本の野生フクロウは11種類が生息しており、そのなかで「ミミズク」に分類されているものは「コノハズク」「コミミズク」「トラフズク」など6種類がいます。
「ミミズク」に限らず、野鳥は「鳥獣保護法」により飼育することが禁止されており、ペットとして販売されている「ミミズク」やフクロウは、海外から輸入した個体を国内で繁殖したものです。
国内のペットショップで購入できる「ミミズク」としては、「ワシミミズク」「トラフズク」の2種類があります。
「ミミズク」の名前の由来
「ズク」とは「フクロウ」のこと
「ミミズク」の名称についている「ミミ」は「耳」のことですが、「ズク」は日本の古語(ツク・ヅク)で「フクロウ」を指したものです。
「ミミズク」の漢字表記は耳木菟(耳木兎)で、「菟(兎)」は「うさぎ」を表しています。つまり「耳木菟(耳木兎)」で、耳がウサギのような木に棲息しているものという意味になります。
「ミミズク」は虫にもいる
ミミズクと呼ばれる生き物は、鳥だけではありません。カメムシ目ヨコバイ科ミミズク亜科に分類されている昆虫にも「ミミズク」が存在し、漢字では「耳蝉」と書きます。
前胸背に耳状の突起が一対あるのですが、メスの方が大きな突起を持っています。なお、同じ仲間にコミミズク(小耳蝉)がいますが、こちらには耳状の突起がありません。
「ミミズク」とフクロウ・コノハズクとの違いとは?
「ミミズク」とフクロウに大きな違いはない
「ミミズク」とフクロウに、動物学上の本質的な違いはありません。特徴的な羽角の有無についても先に紹介したような例外が少なくなく、「ミミズク」とフクロウを決定的に区別するものにはなっていないのです。
「ミミズク」の名称にある「ヅク」という言葉が元はフクロウのことを指したものであったことからも、両者に大きな違いはないといえます。
英語では「ミミズク」とフクロウは同じ語
日本語では厳密ではないものの、羽角があるフクロウを「ミミズク」と呼んで区別しています。しかし、英語では「ミミズク」もフクロウも同じ「owl」という語が当てられており、区別はされていません。
ドイツ語も英語と同様に、「Eule」という語が「ミミズク」とフクロウを問わずに用いられています。
コノハズクは「ミミズク」の最小の種類
コノハズクは「ミミズク」の仲間で、最も小さいものを指しています。名前の由来は、木の葉のように小さな「ミミズク」ということです。コノハズクの全長は約20cm、一方「ミミズク」やフクロウは約50~75 cmとなっています。
なお、コノハズクの鳴き声は「ブッポウソウ」ですが、「ブッポウソウ」という名前の鳥の鳴き声と勘違いされることが多いようです。
「ミミズク」は縁起の良い鳥?
「ミミズク」やフクロウは知恵の象徴
ギリシャ神話に登場するアテナ(ローマ神話ではミネルヴァ)は、知恵や戦争のほか学芸・工芸を司る女神とされています。
アテナ(ミネルヴァ)の聖鳥として、使者や化身となって活躍したのが、「ミミズク」あるいはフクロウでした。今でも「ミミズク」やフクロウは知恵の象徴として、アイコンなどにも用いられています。
夜目が効く「ミミズク」は見通しが明るい
「ミミズク」をはじめとするフクロウの仲間は、暗闇でもよく見える目を持っています。また、視力も抜群で、遠く離れたところからでも小さな獲物を逃しません。これらのことから、見通しが明るい、つまり先見の明があるという意味で縁起が良いとされるようになりました。
なお、総理官邸の屋上には4羽の「ミミズク」が飾られており、門番のように四方に目を光らせています。
「ミミズク」は商売繁盛の縁起物
フクロウの仲間は、首がよく回ります。頸の骨の数が人間の倍の14個もあるため、首の可動域が広いのです。ここから借金で首が回らなくなることにはならないとされ、商売繁盛や金運向上などの縁起物として好まれるようになりました。
ちなみにフクロウの仲間以外の鳥類も首を後ろにまで回すことができますが、目が頭の側面に付いていて首を回さなくても視界を確保できます。一方、フクロウの仲間の目は顔の正面についているため、首を回す動作がよくみられるのです。
まとめ
縁起の良い鳥とされる「ミミズク」について、分類学上の特徴のほかコノハズクやフクロウとの違いなどについても紹介しました。富・幸福のアイコンとしても好まれていますが、「ミミズク」とフクロウとの区別はややあいまいで、英語やドイツ語では同じ名称で呼ばれているほどです。