「カンガルー」はお腹の袋が特徴的な動物で、袋から顔を覗かせた赤ちゃんカンガルーの姿を動物園で見たことがある方も少なくないでしょう。この記事は「カンガルー」の特徴・生態のほか、名前の由来や「ワラビー」「ワラルー」との違いなどについても紹介しており、「カンガルー」への理解が深まる内容となっています。
「カンガルー」の特徴と生態とは?
「カンガルー」は有袋目カンガルー科の哺乳類
「カンガルー」は、オーストラリア大陸とオーストラリアのタスマニア島、パプアニューギニアに生息している有袋目カンガルー科の哺乳類です。メスのお腹には、育児嚢(いくじのう)と呼ばれる袋があります。
日本の動物園でよく見かけるアカカンガルーは体長160cm、体重85kgほどもありますが、赤ちゃんカンガルーは、体長が約2cmで体重は1g前後です。まだ目が開かず体毛も生えていない状態で生まれ、すぐに自力で育児嚢に入ります。
袋のなかには乳頭があり、赤ちゃんカンガルーは袋に守られた状態でおっぱいを飲むことができるのです。成長したカンガルーは主に草を食べて過ごしますが、動物園では人参や果物なども与えています。
「カンガルー」のおへそはほとんど消えてしまう
「カンガルー」などの有袋目は胎盤が未発達で、胎児を子宮の中に長くとどめておくことはできません。そのため赤ちゃんカンガルーは超未熟児の状態で生まれ、袋の中で大きくなります。
赤ちゃんカンガルーには臍帯(へその緒)があるのですが、糸のように細いものです。へそは臍帯が取れた痕跡であるため、カンガルーのへそはとても小さく成長に伴って消えてしまうのです。
「カンガルー」は後ろ向きに進めない
「カンガルー」の体は筋肉質で、オス同士でボクシングのように両手を繰り出しての殴り合いをします。加えて後肢と尻尾が発達しており、太い尻尾でバランスをとりながら効率よくジャンプすることができるのです。
一回のジャンプで10mもの距離を跳び、最大時速70kmを出すことができますが、持久力も高く1日に100kmも移動できます。尻尾で体を支えた状態で繰り出す両足での前蹴りの破壊力は強大で、人が蹴られると死に至る危険性があるほどです。
ところが「カンガルー」は脚の構造上、後ろ向きに進むことができません。敵から逃れる必要がなかったため、脚の後退機能が退化したともいわれており、オーストラリアの国章にも「前進あるのみ」という理由から「カンガルー」が描かれています。
「カンガルー」の寿命は10年程度
カンガルーの寿命は10年程度で、最長24年です。アカカンガルーは平均12~18年といわれていますが、動物園では10年ほどで死亡することが多いようです。
一般的に動物の寿命は体重の1/4乗に比例するとされていますが、「カンガルー」より体重が軽い犬や猿のほうが長生きすることを考えると、「カンガルー」は意外と短命な生き物といえそうです。
「カンガルー」の名前の由来は?
「カンガルー」は「跳ぶもの」という意味
「カンガルー」の名前は飛び跳ねるものという意味の「gangurru」が由来で、これが英語の「kangaroo(カンガルー)」になりました。
ジェームズ・クック率いる探検隊がオーストラリアで初めて見た「カンガルー」の名前を先住民のアボリジニに聞いたところ、現地の言葉でこう答えたそうです。
もうひとつの語源としての説は、クックの言葉を理解できなかった先住民が答えた「gangurru(わからない)」という言葉を、クックが動物の名前だと誤解したというものですが、これは嘘だったとされています。
「カンガルー」は有袋目カンガルー科の動物のこと
正式には「カンガルー」は、哺乳類の中の有袋目カンガルー科の動物の総称です。約55種に分けられていますが、大きくはカンガルー・ネズミカンガルー・ニオイネズミカンガルーの3亜科に分けられています。
その中の、カンガルー亜科カンガルー属に分類されているアカカンガルーやオオカンガルー、ワラルーを指すことや、ワラルーを省いた大型種を指して「カンガルー」と呼ぶことが一般的です。
「カンガルー」と「ワラビー」の違いとは?
「ワラビー」は小型のカンガルー
先に紹介したように、広義の「カンガルー」はカンガルー科の動物を指した名称です。「ワラビー」もカンガルー科に分類されているもので、「カンガルー」と「ワラビー」には生物学上の違いはありません。
「カンガルー」と「ワラビー」の違いは身体の大きさで、ワラビーは体長25〜75cmで平均体重は25kg以下と小型です。
「ワラルー」は「カンガルー」と「ワラビー」の中間
「ワラルー」は、カンガルー属の中型のものの名称で、アカワラルー・クロワラルー・ケナガワラルーの3種が生息しています。「カンガルー」や「ワラビー」との違いは身体の大きさにあり、体長は80~140cmほどです。
オーストラリアでは、「カンガルー」「ワラルー」「ワラビー」を区別せずにすべて「ルー」と呼ばれており、カンガルー肉は、「ルーミート」「ルージャーキー」として販売されています。
まとめ
「カンガルー」の特徴・生態のほか、名前の由来、ワラビーやワラルーとの違いも紹介しました。「カンガルー」などの有袋類はオーストラリアなどの限られた地域でのみにしか生息しておらず、絶滅危惧種も少なくありません。しかし、オーストラリアでは人口の倍近くのカンガルーがおり、カンガルーと自動車による接触事故や農作物への被害が多く報告されています。