「元旦」はいつからいつまで?祝日「元日」との違いや由来・意味も

「元旦」は、1月1日の朝のことです。「元日」や「正月」という表現もありますが、違いを尋ねられると明確には答えられないかもしれません。

この記事では、「元旦」の正確な意味と由来をはじめ、「元日」との違いや年賀状での使い方について紹介しています。一通り読めば、使い分けのポイントが分かる内容となっています。

「元旦」の意味とは?

「元旦」とは1月1日の朝を意味する

「元旦」の読み方は「がんたん」で、1月1日の朝のことです。「元」という文字は、かんむりをつけた人の象形です。「かしら・もと」を表しており、ここから「はじめ・はじまり」という意味になっています。

もうひとつの「旦」という文字は、「早朝」「朝」を意味しています。「太陽」を表す「日」と地平線を示す横線が加わったもので、日の出の様子を表したものです。

これらの文字から成り立つ「元旦」は、1年の始まりの日の朝つまり1月1日の朝を表す熟語になっています。

「元旦」は1月1日の日の出から数時間または午前中

「元旦」は1月1日の朝、もしくは午前中のことです。具体的にいつからいつまでという取り決めはありませんが、「旦」という文字が日の出の様子を表すことから、「元旦」は日の出から2~3時間程度とする場合もあります。

ちなみに日の出とは、太陽の上辺が地平線(水平線)と一致したときのことを指し、この時の時刻を日の出の時刻としています。ちなみに、日本の1月1日は午前7時前後です。

「元旦」は何するの?由来や歴史とは?

「元旦」は「その年の明け方」が由来

朝は一日の始まりを指す言葉ですが、一日を一年になぞらえると1月1日はその年のはじまり、つまり朝にあたります。そこから1年の始まりである1月1日の朝のことを「元旦」というようになりました。

先に紹介した「元旦」という文字の意味(「元・はじめ」、「旦・朝」)にも、「元旦」の意味合いが表れています。

「元旦」には歳神様をお迎えする

1月1日の朝を特別に「元旦」と呼ぶ理由は、歳神様がその年の最初の夜明け、つまり初日の出とともに来られると考えられているためです。

歳神様をお迎えするため、年末の大掃除やお正月飾りの門松や松飾りを準備するなどの年中行事や、「元旦」に初日の出を拝むことは現在でも多くの人々によって行われています。

「四方拝」は「元旦」の宮中儀式

歳神様をお迎えする風習は、やがて宮中儀式の「四方拝(しほうはい)」となりました。毎年1月1日の早朝、つまり「元旦」に、天皇が天地四方の神祇を拝して年災消滅と五穀豊穣を祈るというものです。

その後「四方拝」は、明治から昭和初期にかけて「四方節」として祝日となっていましたが、1948年の祝日法によって改めて国民の祝日とされました。

なお、「四方拝」そのものは平安初期、嵯峨天皇の頃に始まり、宇多天皇の頃に定着したようです。

「元旦」と「元日」の違いとは?

「元日」は国民の祝日として定められている

「元日(がんじつ)」とは年の始まりの日、つまり1月1日のことです。はじめ・はじまりの日という意味で、「元日」となりました。年の始まりを祝うため、「元日」は国民の祝日としても制定されています。

「元日」は「正月」の最初の日です。「正月」はもともとその年の最初の月、つまり1月の別称でした。現在では、正月行事が行われる期間を指して用いられることが一般的です。具体的には、元日から3日までの「三が日」や7日までの「松の内」、1月15日の「小正月」などを指します。

「元旦」は「元日」の朝のこと

「元旦」と「元日」は文字が似ていることもあってか、区別があいまいになっている事例も見受けられます。正しくは、「元日は1月1日」を表し「元旦は1月1日の朝」を表しています。

したがって「元旦」は「元日」の朝のことを指すものであり、「元旦の朝」という言い回しは誤りといえるでしょう。

「元旦」の年賀状での使い方とは?

「元旦」は元日の朝届く年賀状に使う言葉

「元旦」は、年賀状の日付としてよく使われている言葉です。しかし「元旦」が「元日」の朝という意味であることを考えると、1月1日の午後以降に年賀状が相手の元に届く場合は使えないということがわかります。

通常、年賀状は「元日」の午前中に届けられますが、投函が遅れるような場合や1日以降に出す場合、「元旦」は使わないほうが無難でしょう。

「元旦」を過ぎる年賀状には「正月」「一月」を

「元旦」を過ぎてから相手に届く年賀状には、「元旦」ではなく「一月」や「正月」と書きましょう。しかし、三が日を過ぎるとお正月の雰囲気は薄れていることも考えられます。年賀状は、できるだけ1月3日までに届くように出したいものです。

なお、1月7日松の内を過ぎる場合には年賀状ではなく、寒中見舞いを出します。

まとめ

「元旦」とは、1月1日の朝のことです。いつからいつまでというような、明確な定義はありませんが、日の出から数時間もしくは午前中とされているようです。

「元日」との違いは、時間は関係なく1月1日を意味する点です。「元日」の朝のことを「元旦」といいます。また「正月」は本来「1月」のことでしたが、現代では長くても15日までを指します。