「マナティ」はどんな動物?人魚との関係やジュゴンとの違いも

「マナティ」は、イルカやクジラのように水中で暮らす哺乳動物です。人魚と見間違えられたといわれていますが、確かに優雅に泳ぐ後ろ姿や授乳中の様子は人魚のように見えなくもありません。この記事では、「マナティ」の生態や生息地のほか、「ジュゴン」との関係などについても紹介しています。

「マナティ」はどんな動物?

「マナティ」は海牛目の哺乳類

水中を泳いで暮らしている「マナティ」は、魚ではなく海生哺乳類(哺乳綱)です。海牛(かいぎゅう)目マナティ科に分類されており、水面に育つ水草や海藻類を食べています。成獣では体長は3~4m、体重は200~600kgにもなる、とても大きな動物です。

低カロリーの水草や海藻類だけで大きな身体を維持するため、「マナティ」は1日に体重の約10%もの大量のエサを食べています。なお、殻が退化して消滅した巻貝の仲間の「ウミウシ」と「海牛目」は全く別のものです。

「マナティ」は寒いところが苦手

「マナティ」は分厚い皮下脂肪を持っているにもかかわらず、寒い所が苦手です。「マナティ」の皮下脂肪には防寒性がないため、水温が15度以下になると死んでしまうこともあります。

そのため生息地は限られており、フロリダからブラジルにかけての北米東海岸や、アマゾン川およびアフリカの西海岸と河川となっています。

「マナティ」の仲間は3種類

「マナティ」は生息地によって、「アメリカマナティ」「アマゾンマナティ」「アフリカマナティ」の3種類に分類されています。もっとも大きいのが「アメリカマナティ」で、もっとも小さいのが「アマゾンマナティ」です。

寿命は「アメリカマナティ」が60年ほど、「アマゾンマナティ」と「アフリカマナティ」が30年ほどといわれています。

「マナティ」は温和で好奇心旺盛な性格

「マナティ」はその外見どおり、温和で好奇心旺盛な性格です。しかしそれが災いしてボートのスクリューに巻き込まれたり、簡単に捕獲されたりすることもありました。

そのため一時は絶滅危惧種となっていましたが、現在は危機のランクが下がって絶滅危急種になっています。

「マナティ」を英語でいうと「manatee」

「マナティ」は、英語では「manatee」となります。発音記号を見る限り語尾は長音となっており、カタカナ表記だと「マナティー」が正解です。

しかし、「シティ」と書いてあっても「シティー」と発音するように、「マナティ」と「マナティー」は実際に読むと同じものとなり、どちらで表記しても問題はありません。

「マナティ」と人魚の関係とは?

「マナティ」の泳ぎはとても優雅

ぽっちゃりとした見た目に反し、「マナティ」の泳ぎはとても優雅です。通常で時速5~8kmほどでゆったりと泳いでいますが、いざという時には時速30kmほどの速さで泳ぐことができます。

哺乳類である「マナティ」は、エラではなく肺で呼吸しているため、通常は15分ほど、活発に泳いでいるときには3分ほどの間隔で水面に鼻を出して呼吸しています。

「マナティ」を人魚と間違えたのはコロンブス

「マナティ」は、人魚のモデルになったと伝えられています。最初に「マナティ」を人魚だと勘違いしたのは、アメリカ大陸を発見したクリストファー・コロンブスではないかという説が有力です。

コロンブスの航路と「マナティ」の生息地が重なっていることに加え、泳ぐ姿の優雅さや子どもを抱えて哺乳する姿が人魚のように見えたのではないかということからも、この説は有力視されています。

「マナティ」と「ジュゴン」との違いは?

「ジュゴン」も「マナティ」同様に海牛目の哺乳類

「ジュゴン」は、海牛目ジュゴン科に分類される水生の哺乳動物です。「マナティ」と同様に海藻などを食べていますが、成獣の体長は3m、体重はおよそ450kg程度と「マナティ」より少しスリムな体型をしています。寿命は「マナティ」より長く50~70年程度ですが、飼育下では10~30年程度です。

「ジュゴン」は海底の海藻を食べる

水面に生育する水草や海藻を食べる「マナティ」とは違い、「ジュゴン」は下向きの平らな口を使って、主に海底に生えている海藻を根元から掘り起こして食べます。

また、「マナティ」とは違い「ジュゴン」は太平洋やインド洋の温かくて浅い海域に生息しており、河川にはほぼいません。また、沖縄の南西諸島沿岸はジュゴンの生息最北端となっています。

「ジュゴン」は絶滅危惧種

「ジュゴン」は個体数が減少しており、絶滅危惧種に指定されています。個体の増加率も低く、5%以下といわれるほどです。

加えて「ジュゴン」は神経質で飼育が難しいこともあり、鳥羽水族館とシドニー水族館にそれぞれ1頭ずつが飼育されているのみです。

「ジュゴン」を人魚と間違えたのは南方熊楠

「マナティ」も「ジュゴン」も人魚伝説とともに語られることが多い動物ですが、「ジュゴン」を人魚と間違えたのは日本の博物学者・生物学者である南方熊楠(みなかたくまぐす)です。

尾ひれの形を比較すると、しゃもじ型をしている「マナティ」に対して、「ジュゴン」はクジラやイルカのように三角形になっています。

また、全身のフォルムも「ジュゴン」のほうがややコンパクトでスリムです。これらのことから、現在の人魚のイメージにより近いのは「ジュゴン」といえそうです。

まとめ

「マナティ」の生態や生息地のほか、人魚伝説や「ジュゴン」との違いについても紹介しました。「マナティ」と「ジュゴン」は分類上でも近縁関係にありますが、生息地や食性などが違っています。また、よく見ると口や尾ひれの形などにも違いがあります。

鳥羽水族館に行くと「マナティ」と「ジュゴン」を同時に見ることができるので、ぜひ観察してみてください。