手が加えられていない自然の美しさやありのままの状態を伝える際に、表現に困ったことはありませんか?この記事では、自然を表す四字熟語をご紹介します。
響きの美しい言葉や感性を感じさせる言葉を使って、文章やスピーチの表現力をワンランクアップさせましょう。
自然を表す四字熟語とは?
自然を表す四字熟語一覧
- 風光明媚(ふうこうめいび)
- 山紫水明(さんしすいめい)
- 深山幽谷(しんざんゆうこく)
- 柳緑花紅(りゅうりょくかこう)
- 花鳥風月(かちょうふうげつ)
- 雪月風花(せつげつふうか)
- 風流韻事(ふうりゅういんじ)
- 行雲流水(こううんりゅうすい)
- 天衣無縫(てんいむほう)
- 明鏡止水(めいきょうしすい)
- 自然淘汰(しぜんとうた)
- 自然法爾(じねんほうに)
自然を表す四字熟語の特徴
自然を表す四字熟語には、自然の様子や美しさを表現したものと、ありのままの状態を表すものがあります。なかでも自然の様子を表す四字熟語は、詩的な言い回しが多いです。日本ならではの情緒を感じさせる表現もあり、文学作品でも頻繁に用いられています。
自然の綺麗な景色を表す四字熟語
「風光明媚」とは自然の風景が美しい様子
「風光明媚(ふうこうめいび)」とは、自然の風景が美しい様子を表す四字熟語です。「風光」とは自然を、「明媚」とは景色が清らかで美しいという意味があります。
山や川など、自然の美しさをたたえるときに用いる表現です。
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「山紫水明」は山や川が美しいこと
「山紫水明(さんしすいめい)」とは、山や川の景色が美しいさまを表す四字熟語です。「山紫」とは日光があたり山が紫に見えること、「水明」とは川の水が澄んでいる様子を表します。
江戸後期の学者「頼山陽(らいさんよう)」が、美しい景色の見える書斎を「山紫水明処」と名付けたことから、美しい景色の表現として用いられるようになりました。
「深山幽谷」は奥深く静かな自然の地のこと
「深山幽谷(しんざんゆうこく)」とは、人の手がかかっていない奥深い自然の地を意味する四字熟語です。「深山」とは静かな山、「幽谷」とは山奥にある谷のことを意味します。
雄大で厳かな山谷の美しさを表現したいときに用いると良いでしょう。「深山幽谷」な風景は、山水画のモチーフとされることも多いです。
「柳緑花紅」は春の美しい眺めのこと
「柳緑花紅(りゅうりょくかこう)」とは、春のあざやかで美しい自然の眺めを意味する四字熟語です。春になると、柳は緑に花は紅く色づくことに由来した言葉で、語順を入れ替え「花紅柳緑」と用いることもあります。
春の眺めの美しさは、自然そのものの美しさです。そのため、「柳緑花紅」には手が加えられていない状態という意味も含まれています。また、禅宗では、自然のままである「柳緑花紅」こそ悟りであると説きました。
美しい自然を愛でる意味の四字熟語
「花鳥風月」とは自然を楽しむ心を意味する
「花鳥風月(かちょうふうげつ)」とは、美しい自然を楽しむ心や、自然を題材に詩歌を詠んで楽しむことを意味する四字熟語です。「花鳥」は、花と鳥のさえずりを、「風月」は風流を楽しむという意味があります。
「花鳥風月」という言葉の響きにも風流があり、美しい自然に出会えたとき、自然に親しむ生活をするときにぜひ使いたい表現です。
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「雪月風花」とは美しい四季を愛でること
「雪月風花(せつげつふうか)」とは、四季の美しい景色を愛で、それらを目にして詩歌を詠む様子を意味する四字熟語です。雪は冬、月は秋、風は夏の嵐、花は春を表しています。「風花雪月」と用いることもあります。
「花鳥風月」とほぼ同義の四字熟語ですが、「雪月風花」は特に四季に言及していることが使い方の違いです。
「風流韻事」とは自然に親しんで詩歌を作ること
「風流韻事(ふうりゅういんじ)」とは、俗世間から離れ自然に親しみ、詩歌や書画を作り風雅に遊ぶことを意味する四字熟語です。
「韻事」とは、詩文や書画などのことで、「風流韻事にふける」「風流韻事を楽しむ」などのように使います。
自然なさまを表す四字熟語
「行雲流水」は自然に任せて行動すること
「行運流水(こううんりゅうすい)」とは、流れる雲や水のように、自然に任せて行動するという意味の四字熟語です。物事に執着しないという意味もあり、理想的な生き方としてしばしば座右の銘にも用いられます。
行き詰りや焦りからの解放という、比較的良い意味で使われることが多いです。
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「天衣無縫」とは飾り気がなく自然であるさま
「天衣無縫(てんいむほう)」とは、詩文に技巧のあとがなく自然で美しいさま、物事が完全無欠であることなどを意味する四字熟語です。人物に対して使うときには、性格に飾ったたところがない、天真爛漫さを表します。
いずれも自然であることが美しく、良い意味で使われる表現です。
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「明鏡止水」とは澄み切った心のこと
「明鏡止水(めいきょうしすい)」とは、心にわだかまりや邪念がなく、澄み切った様子を意味する四字熟語です。「明鏡」は曇りのない鏡を、「止水」は流れることなくとどまる静かな水面を意味し、「めいけいしすい」と読まれることもあります。
「明鏡止水の心」「明鏡止水の境地」のように「明鏡止水の~」と使うことが一般的です。
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自然で始まる四字熟語
「自然淘汰」とは優れたものが生き残ること
「自然淘汰(しぜんとうた)」とは、環境に合う優れたものが生き残ることを意味する四字熟語です。劣悪なものは何もしなくても、時間とともに自然に廃れていくことを表します。
「自然淘汰」は、もともと生物の進化についての概念です。しかし、生物のみならず人や物などについてもよく使われています。
「自然法爾」とはあるがままにまかせること
「自然法爾(じねんほうに)」とは、仏教用語で自分の力を捨ててありのままにまかせることを意味する四字熟語です。
「自然」とはおのずからそうであることを、「法爾」とは法則にゆだねることを意味します。浄土真宗では、ありのまま=如来(阿弥陀仏)の力で示されるものであり、真理にかなうものと考えます。
まとめ
自然を表す四字熟語には、「風光明媚」のように美しい景色を表現したもの、「行雲流水」や自然で始まる四字熟語のようにありのままを意味するものがあります。日本語がもつ美しい表現や概念を表した四字熟語もあるので、ぜひ活用して表現の幅を広げてみてください。