「美しい」ということを表現する時、何か少し違った言葉で伝えてみたいと思うことはありませんか?自然や花の美しさや、人の外見の美しさ、内面の美しさなど、美しさの種類にはいろいろあります。美しいことを意味する四字熟語のバリエーションを知って、より深く、他とは差をつけた表現をしてみましょう。
「美しい」という意味がある四字熟語とは?
「美しい」という意味がある四字熟語一覧
- 山紫水明(さんしすいめい)
- 花紅柳緑(かこうりゅうりょく)
- 雪魄氷姿(せっぱくひょうし)
- 英華発外(えいかはつがい)
- 晴雲秋月(せいうんしゅうげつ)
- 沈博絶麗(ちんぱくぜつれい)
- 才色兼備(さいしょくけんび)
- 秀外恵中(しゅうがいけいちゅう)
- 才貌両全(さいぼうりょうぜん)
- 鮮美透涼(せんびとうりょう)
- 流星光底(りゅうせいこうてい)
- 迦陵頻伽(かりょうびんが)
「美しい」という意味がある四字熟語の特徴
「美しい」という意味がある四字熟語には、多くのバリエーションがあります。風景や花など、自然そのものの美しさを表現するものは、その情景が思い浮かぶような表現になっています。心の美しさや声の美しさを表現する四字熟語は、その目に見えない美しさを何かの美しさに例える表現が多いことが特徴です。
同じような美しさを指していても、表現に違いがあることも四字熟語の興味深い特徴です。自分の感性で、おしゃれに感じるもの、かっこいいと感じるものなどを選び取り、使用してみましょう。
自然や花の美しさをおしゃれに表す四字熟語
「山紫水明」は自然の風景が清らかで美しいこと
「山紫水明(さんしすいめい)」は、自然の風景が清らかで美しいことを指す言葉です。山は日の光の中で紫色に霞み、川の水は清く澄みきって美しい様子を表しています。
「幼少期を山紫水明の地で過ごした」というように使用し、類語には「山明水秀(さんめいすいしゅう)」や「山清水秀(さんせいすいしゅう)」「水紫山明(すいしさんめい)」などがあります。
以下の記事でも「山紫水明」について触れていますので、あわせて参考にしてみてください。
「花紅柳緑」は人手が加わらない自然そのものの美しさのこと
「花紅柳緑(かこうりゅうりょく)」は、花は紅く、柳は緑という、自然のありのままの姿を表現しており、人の手が加わっていない自然のままの美しさを指す言葉です。また、春の美しい景色を形容する言葉でもあります。
色とりどりで華やかな装いを形容して使う場合もあり、「柳緑花紅(りゅうりょくかこう)」ともいいます。出典は蘇軾(そしょく)の『東坡禅喜集(とうばぜんきしゅう)』とされています。
「雪魄氷姿」は梅の花を形容する言葉
「雪魄氷姿(せっぱくひょうし)」は、梅の花を形容する言葉です。梅の花が、多くの花がまだ咲かない雪の時期に、雪を凌ぎ清楚に白い花をつけることに由来しています。「梅」という言葉を使わずに梅を表す、おしゃれな表現です。
「雪魄」は、雪のような清らかな形を意味し、「氷姿」は、氷のように気高い姿を意味するため、高潔で潔白な人物をたとえて使うこともあります。
美しさを表し、良い意味がある四字熟語
「英華発外」は内面の優れた精神や美しさが表れること
「英華発外(えいかはつがい)」は、内面の優れた精神や美しさが、外に表れ出ることを表す言葉です。「英華」は美しい花という意味があり、この場合では内面の優れた者をたとえています。「発外」は外に表れ出ることを意味します。
出典は『礼記(らいき)』の楽記(がくき)。もともとは、人を感動させる優れた音楽にまつわる言葉で、内面に蓄えられていた優れた精神が、力強く外に表れ出てきて、美しい曲調をなすことを指します。
「晴雲秋月」は心に穢れがなく澄みわたっていること
「晴雲秋月(せいうんしゅうげつ)」は、純真で心に穢れがなく、澄みわたっていて美しいことを意味する四字熟語です。「晴雲」は晴れた空に浮かぶ白雲、「秋月」は秋の澄んだ空にかかる凛とした月を意味します。
出典は『宋史(そうし)』の文同伝(ぶんどうでん)。類語には「虚心坦懐(きょしんたんかい)」や「明鏡止水(めいきょうしすい)」「光風霽月(こうふうせいげつ)」などがあります。
「沈博絶麗」は奥深く、広く、このうえなく美しい様子
「沈博絶麗(ちんぱくぜつれい)」は、優れた文章を形容する言葉です。文章の表現に奥深く広い意味が込められ、このうえなく美しい様子を指します。「沈」は深いことを意味し、「博」は広い、「絶」は非常に、「麗」は美しいという意味があります。
出典は揚雄(ようゆう)の「答劉歆書(りゅうきんにこたうるのしょ)」。「彼は沈博絶麗な名文を書き残した」のように使用します。
賢く美しい女性・男性を表す華やかな四字熟語
「才色兼備」は優れた才能と美しさを合わせ持つこと
「才色兼備(さいしょくけんび)」は、優れた才能と美しさを併せ持つことを意味する四字熟語で、女性について使われる言葉です。「さいしきけんび」とも読みます。「才色」は才能や才知と顔かたちを指し、「兼備」は兼ね備えることという意味があり、「才色兼備と名高い彼女」のように使われます。
以下の記事では「才色兼備」について詳しい解説をしていますので、あわせて参考にしてみてください。
「秀外恵中」は容姿が美しく賢いこと
「秀外恵中(しゅうがいけいちゅう)」は、容姿が美しく賢いことや、容姿が美しく優しい心を持っているという意味の言葉で、主に女性について使われます。「秀外」は外見が秀でている、立派であるという意味があり、「恵中」は心が優しい、頭の働きが聡いという意味があります。
出典は韓愈(かんゆ)の「送李愿帰盤谷序(りげんのばんこくにかえるをおくるじょ)」です。訓読では「外に秀で、中に恵あり」と読みます。
「才貌両全」は優れた才能と容姿の両方を持つこと
「才貌両全(さいぼうりょうぜん)」は、優れた才能と容姿の両方を持つことを意味する四字熟語です。ほぼ同じ意味の「才色兼備」が女性に対して使われる言葉なのに対し、「才貌両全」は男性に対しても使用することができます。
他に男性を褒める四字熟語として、知恵と勇気を兼ね備えていることを表す「知勇兼備(ちゆうけんび)」という言葉があり、こちらは男性に対して使われる言葉です。
美しく綺麗な響きがかっこいい四字熟語
「鮮美透涼」は美しく透き通っている様子
「鮮美透涼(せんびとうりょう)」は、鮮やかで美しく、透き通っている様子を表す四字熟語です。「鮮美」は色鮮やかで美しいこと、「透涼」は透き通って涼やかなことを意味します。外から見た美しさのことだけでなく、人の内面や性質についても使われる言葉です。
「鮮美透涼なる彼女に憧れていた」のように使用し、類語には「八面玲瓏(はちめんれいろう)」があります。
「流星光底」は一瞬の間きらめく光のこと
「流星光底(りゅうせいこうてい)」は、流星のように、一瞬の間きらめく光を指す言葉です。もともとは、勢いよく振り下ろす刀が一瞬輝く様子を、流星の輝きにたとえた表現です。
出典は頼山陽(らいさんよう)の「題不識庵撃機山図(ふしきあんきざんをうつずにだいす)」。上杉謙信が武田信玄を討ち損ねた「川中島」をうたった詩に「流星光底長蛇を逸す」という一節があります。
「迦陵頻伽」は美しい声のたとえ
「迦陵頻伽(かりょうびんが)」は、ヒマラヤ山中、または極楽浄土に住むという、とても美しい声で鳴くとされる想像上の鳥の名前で、美しい声をたとえて言う四字熟語です。
「迦陵頻伽」は仏教語で、語源はサンスクリット語の「カラビンカ」。浄土曼陀羅(じょうどまんだら)の絵では、上半身は美女、下半身は鳥の姿で描かれ、聞き飽きることのない美声で法を説くとされています。
まとめ
様々な美しさを表す四字熟語をご紹介しました。何の美しさを伝えたいのかによって、ぴったりの四字熟語を選んで使ってみましょう。また、以下の記事でも自然の美しさを表現する四字熟語や、美しい意味や良い意味を持つ四字熟語を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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