鳥にちなんだことわざとは?いい意味・俳句由来のものを一覧で紹介

ことわざの中には、鳥にちなんだ言葉が多くあります。日本人にとって鳥が身近な存在だったからだと言えるでしょう。四字熟語にもなっているものや、俳句・物語が由来を由来にするものなど、さまざまなことわざを一覧で紹介します。

鳥にちなんだことわざとは?

鳥にちなんだことわざ一覧

  • 飛ぶ鳥を落とす勢い(とぶとりをおとすいきおい)
  • 能ある鷹は爪を隠す(のうあるたかはつめをかくす)
  • 鶴は千年亀は万年(つるはせんねんかめはまんねん)
  • あの声で蜻蛉食らうか時鳥(あのこえでかげろうくらうかほととぎす)
  • 金の卵を産む鵞鳥を殺すな(きんのたまごをうむがちょうをころすな)
  • 青い鳥(あおいとり)
  • 鶏口となるも牛後となるなかれ(けいこうとなるもぎゅうごとなるなかれ)
  • 籠鳥雲を恋う(ろうちょうくもをこう)
  • 立つ鳥跡を濁さず(あつとりあとをにごさず)
  • 頭隠して尻隠さず(あたまかくしてしりかくさず)
  • 雉も鳴かずば撃たれまい(きじもなかずばうたれまい)
  • 鴨が葱を背負って来る(かもがねぎをしょってくる)

鳥にちなんだことわざの特徴

鳥にちなんだことわざの中で、「鳥」はポジティブにもネガティブにも使われています。ポジティブな例では、鷹は「才能がある人」の比喩に使われています。他にも「鶴」「青い鳥」もポジティブな用法です。

ネガティブな意味では、身体の小ささから「鶏」が「小さい集団」の例えになっています。他にも、知恵が足りない存在として描かれたり、食料になったりする鳥もいます。

いい意味を持つ鳥にちなんだことわざ

「飛ぶ鳥を落とす勢い」は勢いが盛んな様子

「飛ぶ鳥を落とす勢い」とは、勢いが盛んな様子を表すことわざです。空を飛んでいる鳥を落とすほどの勢いがあると表現しています。

「飛ぶ鳥落とす」や「飛ぶ鳥も落つ」とも表記されます。

「能ある鷹は爪を隠す」は実力者は力を表に出さないこと

「能ある鷹は爪を隠す」は実力者になるほど、自分の能力を自慢しないことを意味することわざです。実力があるのに謙虚に振舞う人を誉める際に使用します。

「能ある鷹は爪を隠すと言うから、そんなに自慢しない方がいい」と、高慢な人を窘める用法もあります。

「能ある鷹は爪を隠す」の意味と使い方!例文や英語表現も解説

「鶴は千年亀は万年」はめでたいことの比喩

「鶴は千年亀は万年」とは、めでたいことの比喩です。鶴と亀は寿命が長いとする伝説があるため、「長寿の象徴」として、縁起のよい動物とされています。長寿を祝う際によく用いられることわざです。

俳句や物語が由来の鳥にちなんだことわざ

「あの声で蜻蛉食らうか時鳥」は見かけで判断できないこと

「あの声で蜻蛉(かげろう)食らうか時鳥(ほととぎす)」は、見かけで判断できないことを意味することわざです。外見と中身にギャップがあり、驚く際に使用します。

元々は江戸時代に作られた俳句で、作者は宝井其角(たからいきかく)です。鳴き声がきれいな時鳥が肉食だったことに驚いたと詠っています。

「金の卵を産む鵞鳥を殺すな」は欲張らないように戒める

「金の卵を産む鵞鳥(がちょう)を殺すな」は、欲張って将来の利益を失わないように戒めることわざです。毎日、金の卵を産むがちょうを「今すぐ腹から卵をとろう」と殺してしまうイソップ物語が由来になりました。

英語のことわざにも、似た意味の「鳥」のことわざがあります。「A bird in the hand is worth two in the bush.(手の中の鳥には、茂みにいる2羽の鳥の価値がある)」です。欲張って茂みに逃げた鳥を求めず、捕まえた手元の鳥に満足しなさいと戒めています。

「青い鳥」は身近で見逃してしまう幸福の比喩

「青い鳥」は、身近にあるのに見逃してしまう幸福の比喩です。同名のメーテルリンクの童話劇が由来になったことわざです。幸せを呼ぶ青い鳥を探すために旅立つものの、その鳥は自宅にいたという物語になっています。

四字熟語もある鳥にちなんだことわざ

「鶏口となるも牛後となるなかれ」は小さな集団でトップになる方が良い

「鶏口(けいこう)となるも牛後(ぎゅうご)となるなかれ」とは、小さな集団のトップになる方が良いことを意味することわざです。鶏口は「鶏の口」のことで、そこから転じて「小さな集団のトップ」を意味します。

牛後は「牛の尻」で、転じて「大きな団体で立場が低い人」のことです。大きな集団で下働きをするより、小さくても、自分がリーダーになることを目指すよう伝えています。

「鶏口牛後」という四字熟語で表記することもあります。

「鶏口となるも牛後となるなかれ」の意味とは?由来と類語も解説

「籠鳥雲を恋う」は自由な境遇を恋しがること

「籠鳥(ろうちょう)雲を恋う」は、拘束されている人が、自由な境遇を恋しがることを例えています。「籠鳥恋雲(ろうちょうれんうん)」という四字熟語も使われています。

「籠鳥雲を恋う」は、複数の意味があることわざです。別の意味は「故郷を恋しがる」です。

鳥の習性が由来のことわざ

「立つ鳥跡を濁さず」は去り際は見苦しくしないよう戒める

「立つ鳥跡を濁さず」は去り際を見苦しくしないよう戒めることわざです。水鳥が飛び立ったあとに水が汚れていないことが由来になりました。

よく見る用法は「旅行先から帰る前や転勤・退職で、去る前に片付けるよう注意する」です。他にも「引き際が潔い」という意味でも用いられます。

「頭隠して尻隠さず」は都合の悪いことが隠しきれない例え

「頭隠して尻隠さず」は、都合の悪いことを隠匿したつもりでも、隠しきれないことを例えたことわざです。草むらの中に隠れた雉(きじ)の長い尾が、草むらからはみ出していることを由来にしています。

悪事や失敗を隠しきれなかったことを、嘲るために使われることもあります。

「立つ鳥跡を濁さず」の意味と由来を例文で解説!類語や対義語も

その他の鳥にちなんだことわざ

「雉も鳴かずば撃たれまい」は余計なことを言わなければ災難は起きない

「雉(きじ)も鳴かずば撃たれまい」は、余計なことは言わない方が良いとすることわざです。余計な発言のせいで災難が起きたり、面倒毎に巻き込まれたりした際に使う言い回しです。

雉が鳴き声で猟師に居場所を知られ、撃たれてしまうことを表しています。雉の鳴き声が「余計な発言」、猟師に撃たれることが「面倒事や災難が起きること」の比喩です。

「雉も鳴かずば撃たれまい」の意味とは?由来と似たことわざも

「鴨が葱を背負って来る」は都合がよいことの比喩

「鴨が葱を背負(しょ)って来る」は都合がよいことの比喩です。お人よしな人が利益になる物を持ってきた際にも用いられます。鴨肉と葱が揃えばすぐに鴨鍋が食べられることからうまれたことわざです。

俗な言い回しですが「鴨葱(かもねぎ)」と略されることもあります。

まとめ

「鳥」にちなんだことわざは多く、良い意味のものも悪い意味ものものもあります。有名なことわざが多いため、意味を勘違いしないようチェックしておきましょう。