「白髪三千丈」とは?意味や出典、使い方をわかりやすく解説

「白髪三千丈」という言葉を本や会話で見聞きしたことはありませんか。また「あの子はいつも白髪三千丈な話をする」というと、一体どのような話をあらわしているのでしょうか。今回は「白髪三千丈」の意味をはじめ、出典や使い方について詳しく解説します。他の類義語や英語表現も紹介していますので、参考にしてください。

「白髪三千丈」の意味とは?

「白髪三千丈」は「心配事が積もることの例え」

「白髪三千丈」の意味は「心配事や悲しみが非常に深いこと・積もることの例え」で、「はくはつさんぜんじょう」と読みます。

「白髪」は文字通り白髪(しらが)のこと、「三千丈」は数の多いことの例え「三千」と長さの単位「丈」で、長さは約9.33キロメートルになります。もちろん実際の長さではなく、たいへん長いという形容の意味で用いられているものです。

“長年の心配事や憂いが重なり、白髪が非常に長くのびてしまった”というのが言葉本来の意味で、心に心配事や憂いが積もることを例えることわざです。

日本での意味は「大げさな誇張表現」

「白髪三千丈」は、現代の日本では「大げさな誇張表現」の形容として用いられています。

本来は前述したように「長年の心配事や憂いが重なり、白髪が非常に長くのびてしまった」という意味なのですが、”三千丈の長さの白髪”というのが非常に大げさな表現であることから、次第に「大げさな誇張表現」として用いられるようになりました。現代ではこちらの意味合いで使われることが大変多い言葉です。

「白髪三千丈」の出典は中国の詩

「白髪三千丈」は、8世紀の中国(当時は唐王朝)の詩人、李白が書いた詩「秋浦(しゅうほ)の歌」の冒頭句から由来しています。「秋浦の歌」は五文字ずつ、四句からなる五言絶句で、前半部分に「白髪三千丈」が記されています。

白髪三千丈、縁愁如箇長、不知明鏡裏、何処得秋霜

(白髪三千丈、愁いに縁よりて箇かくの如く長し)

訳:白髪が三千丈もある、心配ごとのせいでこんなにも伸びてしまったのだ)

※出典:李白 秋浦歌

李白は唐時代を代表する詩人ですが、晩年は反乱に加わった疑いをかけられ流罪となります。その後流刑地へ向かう途中で恩赦を受けるのですが、この詩はその時に詠まれたものとされています。

李白はお酒と自由を愛する詩人で、作風は天真爛漫、自由な表現で知られていました。「白髪三千丈」はまさに李白らしい”誇張表現”ともいえるでしょう。

「白髪三千丈」の使い方と例文

「白髪三千丈」は「大げさ」と同じ意味で使われる

「白髪三千丈」は、人の話や態度が大げさであるとき、また話の内容が誇張されているときに使います。

実際よりも自分をよく見せるために、ある部分だけを強調して話したり、また”大したことはない”と思えるようなことに対してさも大げさに騒いでみたり、といったシーンに遭遇したときに用います。おもに批判的な意味合いがこめられることが多く、「君の話はまるで白髪三千丈だな」というように使います。

「白髪三千丈」を使った例文

  • ちょっと熱が出ただけで救急車を呼ぶなんて白髪三千丈だよ。
  • こんなに難しい問題が解けるわけないって白髪三千丈みたいなことを言って騒いでいるけど、先週習った問題だよ。
  • 今まで生きてきた中で一番痛いなんて白髪三千丈のような言い方だけど、ちょっと擦りむいただけだよ。

「白髪三千丈」の類義語や言い換え表現とは

「白髪三千丈」の類義語は「針小棒大」や「大言壮語」

「白髪三千丈」の類義語にあたるのは「針小棒大(しんしょうぼうだい)」です。「針小棒大」は「針のようにとても小さいものを、棒のように大きなものとすること」という意味の四字熟語で、物事を大げさに例えて言う様子を表します。

また「大言壮語(たいげんそうご)」も同じく「白髪三千丈」の類義語にあたります。「大言壮語」とは「大げさに言うこと、できそうにないこと・威勢のいいことを言う」という意味の四字熟語で、自分の能力以上の大きなことを言うことを指します。

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「大風呂敷を広げる」も言い換え表現

ことわざの「大風呂敷を広げる」も「白髪三千丈」の言い換え表現として使うことができます。

「大風呂敷を広げる」には、実現できそうにないことを言ったり計画したりする意味があります。また、物事を大げさに言うという意味でも用いられています。「大風呂敷を広げる」は、大勢の人の前で、非常に大きな風呂敷を広げて見栄を張ったことから生まれたことわざだとされています。

「白髪三千丈」の英語表現とは

「白髪三千丈」の英語表現は「Exaggerated expression」

「白髪三千丈」の意味である「大げさな表現」を英語で表すと「Exaggerated expression」になります。

「Exaggerated」は「誇張された、大げさな」という意味の形容詞で、物事を実際の程度よりも大げさに表現するときに使われる英単語です。

また「expression」は「表現、言い回し」の意味を持つ名詞。「Exaggerated expression」で「大げさな表現、誇張した表現」を意味します。

「Exaggerated expression」を使った例文

  • He always talks about oneself by exaggerated expression.(彼はいつも大げさな表現で自分の話をする。)
  • Though she says, “I seem to die after a walk”, she is exaggerated expression.We have not walked that much yet.(彼女は「歩きすぎて死にそうだわ」なんて言うけど、大げさな表現だ。まだそれほど歩いていないよ。)

まとめ

「白髪三千丈(はくはつさんぜんじょう)」は元々「心配事や悲しみが非常に深いこと・積もることの例え」という意味の言葉です。しかし、”三千丈の長さの白髪”というのが非常に大げさな表現であることから、現代では「大げさな誇張表現」という意味で用いられています。類義語には「大言壮語」や「大言壮語」があります。