「業務委託契約書」とは業務委託契約をするときに使われる書類ですが、その書類にはどのようなことが記載されて、契約を締結する際にはどんなことに注意するべきなのでしょうか。
今回は「業務委託契約書」の意味と種類を契約書の例を併せて説明します。また個人が業務委託契約を締結するときの注意点についても紹介します。
「業務委託契約書」の意味と種類とは?
「業務委託契約書」とは業務委託を締結するための書類
「業務委託契約書」とは業務委託を締結するための書類です。そもそも「業務委託」とは、雇用関係のない企業が特定の業務を別の企業または個人に発注して、業務を請け負ってもらい、業務が遂行されることで報酬が支払われる仕事の契約のことです。
業務を発注する側を発注者や委託者と呼び、業務を受ける側を受託者などと呼びます。
受託者は請け負った業務を自分の責任のもとで行い、業務遂行において委託者に管理されることはありません。
参照:「業務委託」とは?他の契約との違いと契約書の作成方法も解説
「業務委託契約書」は英語で「Service Agreement」
「業務委託契約書」は英語で「Service Agreement」(直訳:サービスの契約)と表現します。「Service」は「サービス」のようにカタカナ語 として使われていますが、この場合の「service」は業務で相手に奉仕するという意味合いで使われています。また「Agreement」は契約という意味で、他のビジネス書類でも「契約」という意味の言葉が含まれる場合にはこのagreementがよく使われます。
業務委託契約の種類と契約書
業務委託契約には「委任契約」と「請負契約」がある
業務委託契約には「委任契約」と「請負契約」があり、「委任契約」はコンサルタント業や経営委託、弁護など委託者が受託者に対して法律行為を伴う業務を委任して契約することです。一方、「請負契約」とは委託者が受託者に業務を発注して、その業務を完了することにより報酬が支払われるタイプの契約です。建設や運送、IT関連のシステム構築やソフトウェア開発などで請負契約が行われています。
委任契約と請負契約に関連する業務委託契約書としては、次のようなものが挙げられます。
委任契約 | 請負契約 |
|
|
参照:「委任契約」の意味とは?「準委任契約」との違い・ひな形も紹介
業務委託契約書に記載されることとは?
業務委託契約書に記載される主な事柄
業務委託契約書には、主に次のような事柄が記載されます。
- 業務内容とその目的
発注される業務の内容の詳細です。契約書によっては、業務委託契約が結ばれた目的が記されることもあります。 - 業務完了期限や契約期間
請負契約では、委託される業務をいつまでに完了するのかを規定した業務完了期限が規定されます。委任契約なら、いつまで契約を継続するのかを規定した契約期間が規定されます。 - 業務委託料や支払い期限などの報酬に関する事柄
委託者が受託者に支払う報酬について、業務委託料とよばれる報酬額やその支払い期限、さらにどのように支払われるかなどの詳細が記されます。 - 守秘義務や契約解除に関する事柄
守秘義務や報告義務など業務の遂行において守るべき事柄や、契約がどのような状況で解除されるのかを規定した契約解除についても記載されます。
他には、業務の更新が予定されているのなら業務更新に関する事項や、業務委託契約書で規定されていない事柄を後から追加、訂正するために協議規定なども記されます。
業務委託契約書は委託者と受託者が合意した内容を記載
業務委託契約書に記載される事柄とは、委託者と受託者が合意した業務委託に関連する内容だけが記載されます。業務内容について協議していると、それぞれが思い込んでいて委託者と受託者の間で合意を得ていない事柄が出てくることがあります。しかしそうした思い込みの内容は業務委託契約書に書くことはできません。
また業務委託契約書の書き方については、下記のページに紹介していますのでご参照ください。
業務委託契約書の作成方法とは?作成者と記載事項・テンプレートも
個人が業務委託契約書を交わすときに注意することとは?
収入印紙の有無を確認
業務委託契約書には収入印紙がいる場合といらない場合があります。収入印紙が必要なのに添付されていなければ、法的な罰則対象となるので注意しましょう。
収入印紙が必要とされるのは請負契約に関する業務委託契約書で、報酬額に応じた収入印紙を貼付します。ただし請負契約の業務委託契約書でも、継続取引であり契約期間が3ヶ月以上などの条件を満たした場合には、収入印紙額は一律の4000円です。
その一方で収入印紙がいらない場合とは委任業務の業務委託契約書や、請負契約であっても継続取引ではなく契約金額が1万円未満の場合です。
口頭契約ではなく業務委託契約書を交わす
個人で業務委託を受けるときに委託者が知り合いのため口頭で契約をしてしまうこともあるようですが、口頭契約は後々にトラブルになることあるので業務委託契約書を交わすようにしましょう。
業務委託契約書により業務委託契約の詳細を明らかにすることで、もしもトラブルになったときに業務委託契約が正しく行われているのかどうかの判断材料になります。
業務委託契約書は委託者と受託者が一通ずつ保管する
業務委託契約書はトラブルを避けるためにも委託者と受託者がそれぞれ一通ずつ保管して、契約違反がないようにお互いが注意を払うようにしましょう。
まとめ
「業務委託契約書」とは業務委託契約を締結する際に交わされる書類です。委託される業務についての詳細がまとめられていて、委託者と受託者の両者が署名することで契約は成立します。収入印紙の有無の確認も忘れないようにしましょう。