日本酒のアルコール度数は15度前後のものが多く、ビールに比べるとかなり高いといえます。しかし日本酒のアルコール度数は、ビールとさほど変わらないものから、梅酒を作ることができるほど高いものまであるのです。この記事では日本酒のアルコール度数の平均値・限界値のほか、熱燗や辛口による違いなどを紹介しています。
日本酒のアルコール度数は高い?
アルコール度数はアルコール濃度の数値を示すもの
アルコール度数とは、お酒が15℃のときに含まれるエチルアルコールの割合を示した数値のことです。
日本酒は「度」、ビールやワインなどは「%」で表示されていますが、表現が違うだけで同じ濃度を示しています。たとえば14度の日本酒と14%のワインのエチルアルコール濃度は、両者とも同じです。
なお、日本酒の日本酒度は比重を表したものであり、アルコール濃度とは別ものですが、混同されることがあるため注意が必要です。
日本酒のアルコール度数は醸造酒としては高い
酒類は、大きく醸造酒と蒸留酒のふたつに分けることができます。醸造酒とは原料に加えた酵母の働きでアルコールを生成するもので、代表的な醸造酒の平均的なアルコール度数は以下のような数値です。
- ビール:5~6%
- ワイン:12~14%
- 日本酒:15~16%
一方蒸留酒は、醸造酒をさらに蒸留することでアルコール濃度を高めたものです。
蒸留酒のアルコール度数は焼酎で20~25%前後、ウイスキーは40%前後もありますが、カクテルベースとして使われたり、水割りやお湯割りにしたりするなど薄めて飲むことが一般的です。
日本酒のアルコール度数が高い理由
度数が高い理由は「並行複発酵」
日本酒のアルコール度数の平均値は、15%前後です。しかし原酒のアルコール度数は20%前後にもなり、醸造酒のなかでは極めて高い数値となっています。
日本酒のアルコール度数が高い理由は、その製造方法に由来します。日本酒の製造は、原料の米の糖化とアルコール発酵をひとつのタンクの中で同時に進める「並行複発酵」で行われています。
「並行複発酵」方式はアルコール生成の効率が高いという特徴があるため、他の醸造酒に比べると日本酒のアルコール度数は高くなるのです。
辛口にはアルコール度数が高い傾向が
多くの日本酒のアルコール度数は、辛口・甘口を問わず15度前後です。しかし、日本酒のアルコール度数は前述したように5度から20度まで幅があり、アルコール度数が低い日本酒には甘口のものが多くみられる傾向があります。
日本酒の甘辛はさまざまな要因で決まるうえ、個人の感覚差にも影響されるものですが、基本的にはアルコール分が多いと辛く感じられるものです。
これらのことから、アルコール度数が高い日本酒には辛口のものが多くみられる傾向があるといえます。
日本酒のアルコール度数の限界最高値とは?
日本酒のアルコール度数は最高で22度未満
日本酒(清酒)の度数は、すべて22度未満となっています。日本酒のアルコール度数が、酒税法によって22度未満と定められていることが理由です。
仮に米と米麹を使って日本酒と同じ製法で造られたお酒であっても、アルコール度数が22度以上あれば、日本酒ではなく雑酒やリキュールなどに分類されます。
日本酒のアルコール度数は割水で調整される
発酵が完了した状態の日本酒のアルコール度数は、20度ほどもあります。しかし一般的に販売されている日本酒は、割水と呼ばれる加水工程を経て15度前後に調整されたものです。
割水はお酒を水増しするものではなく、香りや味のバランスを整えることを目的として行われるものです。
割水する前の日本酒は原酒と呼ばれています。濃厚かつ個性的な味わいが魅力ですが、そのまま飲むだけでなくオンザロックやカクテルとしても楽しめます。
熱燗でアルコール度数は変化する?
温度が上がるとアルコールは揮発する
日本酒は、温度の違いによっても味わいの変化が楽しめるお酒です。日本酒に含まれているエチルアルコールの沸点は78.3℃で、温めることで少しずつ揮発していきます。
蒸留酒はこの性質を利用して、アルコールを分離・濃縮して製造したものです。しかし熱燗で飲む場合の温度は50~55℃程度であるため、大きくアルコール度数が変化することはありません。
温度が上がると味がまろやかに
熱燗にした日本酒の味がまろやかに感じられる理由は、成分や味そのものの変化以上に味覚の変化によるものです。
人間の舌は、温かいものの甘味をより強く感じるようにできています。そのため、同じ日本酒でも温めると甘味が増してまろやかになったように感じられるのです。
また燗酒は体温に近いため吸収率が高く、酔いが早まる傾向があることから、飲み過ぎや悪酔いを未然に防ぐというメリットもあります。
まとめ
日本酒のアルコール度数は高いのかという疑問にお答えしながら、平均値や原酒の限界最高値をはじめ、温度や味との関係性などについても紹介しました。
通常の場合、発酵を終えた段階の日本酒(原酒)のアルコール度数は20度前後ありますが、加水工程によって15度前後に調整されて製品化されているものが大半です。
しかし日本酒には、シャンパン感覚で飲める低アルコール濃度のものもあります。記事を参考に、幅広く楽しめる日本酒の魅力をぜひ体験していただければ幸いです。