「大吟醸」とは?「吟醸」「純米」との違いや値段が高い理由も

ラベルに、「大吟醸」と書かれている日本酒を見掛けることはありませんか?ワインに比べると比較的安価な日本酒のなかでは、高い値段で売られているものが多いようです。この記事では、「大吟醸」とはどんな日本酒かということのほか、「吟醸」「純米大吟醸」との違いや、値段が高い理由についても紹介しています。

「大吟醸」とは?

「大吟醸」とは「特定名称酒」のひとつ

「大吟醸(読み方はだいぎんじょう)」は、「特定名称酒」のひとつです。「特定名称酒」とは、日本酒の原料となる米の精米歩合など特定の条件を満たした日本酒の呼称のことをいいます。

「特定名称酒」は主に「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」の3つに区分されており、「大吟醸」は「吟醸酒」の仲間です。

「大吟醸」は精米歩合50%以下

「大吟醸」を名乗るには、精米歩合が50%以下でなければなりません。精米歩合とは、精米後に残った米のパーセンテージを表したものです。

食用米の精米歩合は約90%ですが、「大吟醸」の場合は米の半分以上を削り取っていることになります。米の表層部にはたんぱく質や脂質などの栄養価が豊富に含まれていますが、日本酒造りにおいては雑味の原因となってしまうことがあるのです。

「大吟醸」では米の半分以上を削り取ることによって、雑味のないきれいな味わいと華やかな香りを醸し出しています。

「大吟醸」の値段が高い理由は?

高値の理由は精米で多くの糠を削り取るため

「大吟醸」の絶対条件は、精米歩合が50%以下であることです。酒米の半分以上を削り取ってしまうため、原料がたくさん必要になるのですが、米が熱を持ったり割れてしまったりすると台無しになります。

そのため、高度な技術を用いてじっくり時間を掛けた工程が必須となるのです。ちなみに精米に掛かる時間の目安は、精米歩合70%で12時間、60%で24時間、50%で48時間、40%なら72時間です。

「大吟醸」造りでは精米後すぐの酒米を使えない

精米直後の酒米は、かなり乾燥しています。この状態で洗米工程に進むと、米粒が一気に水を吸って割れてしまうため、2週間程度おいて水分を戻す「枯らし」と呼ばれる期間が必要となるのです。

また、精米歩合が低いほど給水速度が速いため、洗米や給水に掛ける時間は秒単位で管理されるなど、「大吟醸」造りにおいては各工程で細心の注意がなされています。

「大吟醸」造りは酒粕が多くなる

日本酒は、酒母に麹・蒸米・水を加えた醪(もろみ)を発酵させて搾ったものです。醪を搾ったあとに残る酒粕の、原料の白米に対する割合を「粕歩合」といい、通常の日本酒では25~30%になるものが多くみられます。

しかし「大吟醸」は、低温で酒米を溶かさないようにしながら発酵させるため、「粕歩合」は50%以上になるものもあるのです。このように「大吟醸」は、材料を贅沢に使ったうえ時間と手間をかけて製造するため、どうしても値段が高くなります。

「大吟醸」の飲み方

香りを生かすには冷やしすぎないこと

冷酒で飲むことが多い大吟醸ですが、持ち味の香りを最大限に楽しみたいなら、冷やし過ぎないことがポイントといえます。また、ぐい呑みではなくワイングラスで飲むこともおすすめです。

10℃くらいに冷やした「大吟醸」を、ワイングラスの底から1/4程度まで注いで飲んでみてください。驚くほど香りが際立ち、「大吟醸」の本領が遺憾なく発揮された味わいを体験できるでしょう。

燗上がりする「大吟醸」は熟成・濃淳タイプ

「大吟醸」にも、お燗することでおいしくなる(燗上がり)タイプのものもあります。熟成・濃淳タイプのもので、乳酸やコハク酸の多いものがお燗に向いた「大吟醸」です。

酸の種類は表示されていないことが一般的ですが、生酛系(山卸・山廃など)で純米のものには、乳酸やコハク酸が多く含まれています。なお、おすすめの温度帯はぬる燗(40℃)~上燗(45℃)です。

「大吟醸」と「純米大吟醸」との違いは?

アル添で「大吟醸」の魅力がより際立つ

「大吟醸」は、雑味のないすっきりとした味わいと華やかな香り(吟醸香)が身上の日本酒です。この吟醸香には水に溶けにくいという性質がありますが、醸造アルコールの添加によって、香りの成分を引き出すことができます。

さらに醸造アルコールを加えることで、よりすっきりと軽快な味わいになり、「大吟醸」の魅力がさらに際立つのです。

このように醸造アルコールを加えることを「アル添」と呼び、実際に品評会に出す日本酒には「アル添」のものが少なくありません。

「純米大吟醸」とはアル添なしの「大吟醸」のこと

「純米酒」とは、製造過程で醸造アルコールを加えない日本酒のことを指すものです。先に紹介した「特定名称酒」の3区分のうち、「吟醸酒」と「本醸造酒」は醸造アルコールを加えているか否かによって、「純米」とそれ以外に分けることができます。つまり「大吟醸」は「純米大吟醸」と「大吟醸」に分けることができるのです。

より香りを楽しみたいならアル添の「大吟醸」

軽快な味わいとフルーティな香りが特徴の「大吟醸」ですが、なかでも醸造アルコールを添加して造られたものは、より軽やかでキレイな味わいと華やかな香りを楽しめます。

一方醸造アルコールを添加せずに造られた「純米大吟醸」は、香りはやや控えめながら米由来の旨味とコクが魅力です。

「大吟醸」と「吟醸」との違いとは?

「大吟醸」と「吟醸」の違いは精米歩合

「大吟醸」と「吟醸」の違いは精米歩合の数値にあり、「吟醸」と銘打った日本酒の場合、精米歩合は60%以下と定められています。

「精米歩合」は「精白率」と混同されることが多いのですが、「精白率」は削り取った米のパーセンテージを表したものです。つまり精米歩合の数値が小さいほど、精白率の数値は大きくなります。

「大吟醸」「吟醸」はともに「吟醸酒」

「大吟醸」も「吟醸」もともに「特定名称酒」の「吟醸酒」に分類されるもので、「吟醸酒」としての要件は以下の通りです。

  • 精米歩合が60%以下であること
  • 香味と色沢が良好であること
  • 吟醸造りで造られていること
吟醸造りとは文字通り吟味して醸造することで、具体的には念入りに磨き上げた(精米した)酒米を低温でじっくり時間をかけて発酵させる製法です。

たんぱく質や脂質の少ない酒米を用い、10度前後という低温の環境下で1ヶ月近い時間をかけて醸造することによって、「吟醸香」と呼ばれる華やかでフルーティーな香りを持つ日本酒ができあがります。

まとめ

「大吟醸」とはどんな日本酒なのかということや、「吟醸」「純米」との違い、値段が高い理由もあわせて紹介しました。

「大吟醸」は半分以上も削った酒米を贅沢に使い、手間ひまかけて造られています。そのため「大吟醸」には値段が高いものが多くみられますが、スッキリと軽い味わいに物足りなさを感じる人もいるようです。高いから必ずしもおいしいとは言い切れないところが、日本酒の面白いところでもあります。