「昭和の日」とは何の日?由来や前の名前「みどりの日」との関連も

「昭和の日」は時代が変わってもなぜ残るのか、不思議に思ったことがあるかもしれません。国民の祝日として親しまれていますが、これまでに名前が3回も変わっていることをご存知でしょうか。

この記事では、「昭和の日」の由来や何の日なのかについて、また前の名前である「みどりの日」との関連もあわせて紹介しています。

「昭和の日」は何をする日?

昭和の日とは「昭和時代に思いをはせる日」

「昭和の日」とは、4月29日に定められている国民の祝日です。

60年以上続いた昭和は、第二次世界大戦での敗戦など苦難から復興を遂げた激動の時代でした。また、東京オリンピック開催(1964年)や東海道新幹線の開通、大阪万博開催(1970年)など、高度経済成長を遂げて世界有数の経済大国となった時代でもあります。

わかりやすくいうと、「昭和の日」はこのような激動の昭和時代を振り返り、これからの日本に思いをはせるという趣旨の祝日です。

「昭和の日」はゴールデンウィーク初日の4月29日

1948年に「国民の祝日に関する法律」が施行されてから、4月29日から5月5日までの期間に休日と祝日が集中するようになりました。この期間のことを、平日や土曜日も含めてゴールデンウィークと呼ぶようになったのです。

「昭和の日」が制定されて以降、「憲法記念日(5月3日)」や「みどりの日(5月4日)」、「こどもの日(5月5日)」が国民の祝日となっています。

「昭和の日」の由来や以前の名前とは?

「昭和の日」の由来は「昭和天皇の誕生日」

現在「昭和の日」となっている4月29日は、昭和天皇が生まれた1901年4月29日に由来しています。そのため、以前の名前は「天皇誕生日」として親しまれていました。

「昭和の日」になったのは、2007年「国民の祝日に関する法律(祝日法)」において定められてからです。

天皇の誕生日を祝う「天長節」がはじまり

天皇の誕生日を祝う日としては、「天長節(てんちょうせつ)」がはじまりとされています。「天長」とは、老子の「天長地久」が由来です。「天長節」は「天皇誕生日」と同じく、即位する天皇の誕生日によって日にちが変わります。

「昭和の日」も1927〜1947年までは「天長節(てんちょうせつ)」と呼ばれていました。

以前の名前は「天長節」「天皇誕生日」「みどりの日」

現在の「昭和の日」になる前の名前には、3つあります。「天長節」「天皇誕生日」「みどりの日」です。

前述した「天長節」は、休日法の変更により「天皇誕生日」という名前になり、1948年から昭和天皇崩御の1988年まで国民の祝日になっていました。

その後、1989年1月7日の昭和天皇崩御で、平成へと時代が変わります。「天皇誕生日」は12月23日になり、4月29日は「みどりの日」と改称されました。4月29日はゴールデンウィーク初日として長く親しまれていたため、祝日のまま「みどりの日」という別名で残すことになったといわれています。

「昭和の日」と「みどりの日」の関連とは?

「みどりの日」は4月29日から5月4日に

2007年4月29日に「みどりの日」から「昭和の日」に名前が変わりました。しかし、「みどりの日」はなくなったわけではなく、現在は5月4日が「みどりの日」として国民の祝日になっています。

これにともない、「みどりの日」が制定された1989年から実施されていた「みどりの週間(4月23~29日)」は廃止、新たに「みどりの月間(4月15日~5月14日)」が制定されました。

ちなみに「みどりの日」は、自然の恩恵に感謝して豊かな心をはぐくむという趣旨で制定されたものです。昭和天皇は自然を愛する生物学者で、生前「雑草という草はない」と語ったという逸話もあります。

「昭和の日」は4月29日にゆかりがある

「みどりの日」の「自然の恩恵に感謝して豊かな心をはぐくむ」という趣旨は、「国民の祝日に関する法律」の第一条「自由と平和を求めてやまない日本国民がこぞって祝い記念する日」にそったものです。

一方の「昭和の日」の場合は、長く続いた昭和の天皇誕生日として、親しまれてきた経緯があります。このような理由から、「みどりの日」が「昭和の日」に4月29日を譲る形で決着したようです。

「平成の日」や「明治の日」はなぜないの?

「明治の日」は現在の「文化の日」

現在、11月3日は「文化の日」ですが、もともとは「天長節」として明治天皇の誕生日を記念するものでした。明治天皇が崩御してのちの1926年から、11月3日は「明治節」という名の祝日となりました。

しかし敗戦後の1948年、前年の11月3日に発布された日本国憲法を記念する「文化の日」と改称されたのです。つまり「明治の日」に該当する「明治節」は、「文化の日」と名前を変えて現在も残っているといえます。

「平成の日」は今のところ未定

「明治節」や「昭和の日」の前例から考えると、「平成の日」は上皇陛下の誕生日である12月23日になる可能性が高そうです。

しかし「明治節」と「昭和の日」は、ともに明治天皇と昭和天皇が崩御されて後に制定されたものでした。そのため、現在のところ「平成の日」はまだ考えられていないようです。

まとめ

「昭和の日」は激動の昭和時代に思いを馳せる日です。1945年に第二次世界大戦の敗戦で焦土と化した日本でしたが、わずか20年足らずで東海道新幹線を開通させ、東京オリンピックを開催しました。先人の努力に感謝し、これからの日本を考えるきっかけにする日として、大切にしたいものです。