「ミーアキャット」といえば、まるで人のように直立する姿が思い浮かびます。名前に「キャット」と入っていますが、「ミーアキャット」は猫の仲間ではありません。この記事では、「ミーアキャット」がどんな動物なのか、また名前の由来や立つ理由なども交えながら解説します。
「ミーアキャット」は何科の動物?
「ミーアキャット」はネコ科ではない
「ミーアキャット」は、名前に「キャット」がついていますがネコ科ではありません。「ミーアキャット」の正しい分類は、マングース科スリカータ属という肉食の動物です。
本種のみでスリカータ属を構成しているもので、学名の「スリカータ」という呼び名もあります。なお、「ミーアキャット」の英語名は、「meerkat」です。
「ミーアキャット」はサバンナの生き物
「ミーアキャット」の生息地は、アンゴラ、ナミビア、南アフリカなどアフリカ大陸南部のサバンナ地帯です。直径10cmほどの地下トンネルを掘って、群れで住んでいます。
体重は1kgほどで、25~35mほどの体長に対し、尾は17~25cmとかなり長めです。昼行性で、昆虫やサソリ、多足類などのほか、類爬虫類や鳥類などの小動物を主に食べていますが、果物や植物の茎・根・芽なども食べます。
「ミーアキャット」の寿命は10~15年ほど
「ミーアキャット」の寿命は、10~15年ほどです。ペア、もしくは10~30頭の家族群で構成される群れで、見張り役や子守役など分担しながら助け合って暮らしています。
「ミーアキャット」の鳴き声は子犬に似ていて、時には「ク~ク~」とかわいらしい声で鳴くこともあるようです。
「ミーアキャット」の名前の由来とは?
「ミーアキャット」はオランダ語で「湖の猫」
「ミーアキャット」は、オランダ語で「湖の猫」という意味です。ところが前述したとおり、「ミーアキャット」はネコ科ではありません。
加えて湖に住んでいるわけでもないのです。大変不思議ですが、なぜこの名前が付けられたかは今もって不明です。
「ミーアキャット」はサンスクリット語の「猿」が由来
「ミーアキャット」は、サンスクリット語の「markata(猿)」から英語名の「meerkat」になったものではないかという説もあります。
東インド会社の貿易船に乗っていたオランダ人たちが、「南アフリカにはmarkataがいる」という話を聞いており、初めて見た「ミーアキャット」を「markata」だと思い込んだという説です。
さらに「markata」がオランダ語の綴り「meerkat」に変化したため、「ミーアキャット」と呼ばれるようになったということです。
「ミーアキャット」は白アリ+マングースという語だった
「ミーアキャット」はもともと「mierkat」で、アフリカーンス語の「シロアリ(mier)+マングース(kat)」でした。
「ミーアキャット」がアリ塚の上で直立しているところや、シロアリを食べる光景がよく見られていたためだと考えられています。
「ミーアキャット」が立つ理由は?
太陽に向かって立つ理由は日光浴のため
「ミーアキャット」といえば、後ろ足と尾を使って直立するポーズが有名ですが、その理由の一つは日光浴をするためです。
「ミーアキャット」が住んでいる地域は夜間、気温が下がります。そのため、朝になると太陽に向かって立ち上がり、日光浴をして冷えた身体を温めているのです。
立ち上がるのは周囲を見張るため
「ミーアキャット」は、猛禽類や爬虫類などの肉食動物に捕食されることがよくあります。しかも「ミーアキャット」が住んでいるサバンナは、平地で隠れる場所がほとんどありません。
そのため、仲間が活動するときは必ず誰かが直立の姿勢をとって周囲を見張ります。危険を察知すると、鳴き声で他の仲間に知らせているのです。
「ミーアキャット」は飼育できる?
「ミーアキャット」は神経質な性格
群れで暮らす「ミーアキャット」は、社会性が高くフレンドリーな性格のように思えます。しかし、実は警戒心が強く仲間以外に対しては攻撃的なところがあります。
ペットショップでも売られてはいますが、そもそも「ミーアキャット」は犬や猫のように家畜化されたものではありません。ストレスにも弱いため、飼うときはゆっくりと時間を掛けて少しずつ慣らしたほうがよいでしょう。
「ミーアキャット」のオスは少し臭う
「ミーアキャット」をペットとして飼うときには、臭いが気になるかもしれません。肉食のため、排せつ物の臭いがきつめです。とくにオスは肛門のそばにある臭腺が発達しており、独特の臭いがします。
トイレを清潔に保つことや、排せつ物の臭いを抑えるフードを与えることで、臭いを和らげることができます。しかし、マーキング行為をやめさせることはできないため、完全に臭いを抑えることは難しいでしょう。
まとめ
「ミーアキャット」はマングース科スリカータ属に分類される肉食動物で、猫の仲間ではありません。ユニークな立ち姿の理由は日光浴と見張りのためで、厳しい環境で生きるためのものです。
最近はペットとしても飼われ始めていますが、犬や猫より飼育が難しいため、事前によく調べてから決断されることをおすすめします。