ビジネスマナーは仕事の基本です。適切な身だしなみ、正しい話し方やビジネスメールの送り方など、ビジネスマナーを身につけることで仕事がスムーズになります。ここではさまざまなビジネスマナーの基本のポイントを紹介しています。新入社員からベテラン社員の振り返りにもご活用ください。
新入社員の基本マナー
まずはじめに新入社員がおさえるべき、社会人の基本マナーから紹介します。
「身だしなみ」の基本マナー
社会人になって企業などに所属すると、社員は所属先に利益をもたらす行動が求められます。そして社員は社外の人にとっては企業の顔です。そこで大切なのが身だしなみです。
身だしなみとは、相手のために身なりを整えることをいいます。つまり、自分のためのおしゃれではなく、相手に不快感を与えないように外見や服装に気を配るのが身だしなみのマナーです。「清潔感」があり、ビジネスの場面に調和した「機能的」な服装や髪形などを整えます。
しわや汚れのないスーツ、アイロンをかけたシャツやブラウス、手入れの行き届いた靴やビジネスバッグは必需品ですが、時計や名刺入れ、文房具などもビジネスの場にふさわしいシンプルで質の良いものを選びましょう。髪型も清潔感を第一に考えます。女性であれば、メイクやネイルなども派手にならないよう、落ち着いた色味の化粧品を選ぶようにします。
ビジネスは信用が第一です。相手や周囲の人に信用していただくために、常に相手を中心に考えることが重要です。
「話し方・言葉遣い」のマナー
ビジネスの場では、敬語を使うのはもちろんのこと、カジュアルな表現にも気をつけます。例えば「ちょっと」「すごく」などの言葉は改まった表現に言い換えます。次のような言い換えの例があります。
- ちょっと ⇒ 少々
- さっき ⇒ さきほど
- もうすぐ ⇒ まもなく
- あとで ⇒ のちほど
- すごく ⇒ 非常に
- いま ⇒ ただいま
ビジネスでは否定的な表現を使わないようにします。次のような言い換え方があります。
- 〇〇は席におりません ⇒ 〇〇は席を外しております
- わかりません ⇒ わかりかねます
- できません ⇒ いたしかねます
- 〇〇しないでください ⇒ 〇〇はご遠慮いただけますでしょうか
直接的な表現を避け、丁寧で柔らかい印象を与える言葉に「クッション言葉」があります。言葉の前に一言付け加えて用います。相手にお願いをする時とお断りをする時のクッション言葉には次のような言い方があります。
- お手数をおかけしますが
- ご迷惑をおかけしますが
- 恐れ入りますが
- もしよろしければ
- さしつかえなければ
- 失礼ですが
- 大変申しわけございませんが
- あいにくですが
- ご要望に添えず残念ですが
「敬語」の基本
敬語は他者へ敬意を表すために用います。ビジネスで主に用いる敬語は「丁寧語」「尊敬語」「謙譲語」の3つです。
【丁寧語】ていねいな言葉で相手への敬意を表す言葉 例:「言います」
【尊敬語】相手の動作に用いることで相手を高める言葉 例:「おっしゃる」
【謙譲語】自分がへりくだることで相手を高める言葉 例:「申し上げる」
丁寧語は「です・ます・ございます」のように語尾を丁寧に言い換えます。相手の動作に対しては尊敬語を、自分の動作については謙譲語を使います。「言う」の尊敬語は「おっしゃる」で、謙譲語は「申し上げる」です。尊敬語と謙譲語の使い分けが難しい言葉もあるため、整理しておきましょう。
間違えやすいのが社内の人間のことを社外の人に言う時です。「部長がおっしゃっておりました」など社内の人間に尊敬語を使うのは間違いで、「部長が申しておりました」と謙譲語を使います。
「尊敬語」と「謙譲語」の言い方の例を紹介します。
- する ⇒ なさる される 「参加なさいますか?」
- 見る ⇒ ご覧になる 「ご覧になりますか?」
- 聞く ⇒ お聞きになる 「お聞きになりますか?」
- 行く ⇒ いらっしゃる 行かれる 「いらっしゃいました」「行かれますか?」
- 来る ⇒ いらっしゃる お越しになる おみえになる 「~までにお越しください」
- 食べる ⇒ 召し上がる 「どうぞお召し上がりください」
- 会う ⇒ お会いになる 「お会いになりますか?」
- 言う ⇒ おっしゃる 言われる 「おっしゃるとおりでございます」
- 知っている ⇒ お知りになる ご存じ 「ご存じでしょうか?」
- する ⇒ いたす 「参加いたします」
- 見る ⇒ 拝見する 「拝見してもよろしいでしょうか?」
- 聞く ⇒ 拝聴する 「拝聴させていただきます」
- 行く ⇒ 伺う 「明日伺います」
- 来る ⇒ 参る 「〇日に参ります」
- いる ⇒ おる 「ここにおります」
- 食べる ⇒ いただく 「いただきます」
- 会う ⇒ お目にかかる 「お目にかかります」
- 言う ⇒ 申し上げる 申す 「申し上げます」
- 知っている ⇒ 存じ上げる 存じる 「存じております」
「挨拶」の基本マナー
職場や取引先では相手に好感を持たれる挨拶を心がけましょう。好感を持たれる挨拶とは、自分から挨拶する、目線を合わせて挨拶する、明るい声で微笑みながら挨拶する仕方です。相手に顔を向けずに何かをしながら挨拶したり、聞き取れない声で挨拶したりすると好感の反対の反感を持たれてしまいます。
ビジネスの場では一般的に用いられる慣用的な挨拶の言葉がありますので紹介します。
- 出社したとき 「おはようございます」
- 外出する時 「行ってまいります」
- 戻った時 「だだいま戻りました」
- 外出する人へ 「行ってらっしゃい(ませ)」
- 外出した人が戻った時 「お帰りなさい(ませ)」
- 退社するとき 「お先に失礼します」
- 退社する人に 「お疲れさまでした」
※「ご苦労様でした」は目上の人が目下の人に使う言葉ですので気をつけましょう。
他社訪問や来客のマナー
他社訪問や来客の際のマナーを紹介します。
「名刺交換」のマナー
初対面の時は名刺交換を行います。名刺交換は相手の第一印象が決まる場でもあります。良い印象を持ってもらうことで、ビジネスもスムーズに運びますので、慣れないうちはマナーを事前に確認して準備を整えておきましょう。
名刺交換の仕方については以下の記事で詳しく紹介しています。
名刺交換の仕方やマナーとは?複数人のタイミングや英語とお礼も
「席次」のマナー
お客様を応接室などにご案内する時は、「上座(かみざ)」「下座(しもざ)」という席次のマナーがあります。また自社内の会議などでも役職に対応した席次に着席します。「上座」と「下座」の基本的な考え方は次の通りです。
- 上座:上位の席のこと。基本的には出入り口から一番遠い奥の席。お客様や役職の上の者、年長者が座る。
- 下座:出入り口に近くなるにつれて下座となる。お客様をお迎えする側や役職の下の者、年少者が座る。
車やエレベーターにも席次のマナーがあります。
- 応接室・食事の席など:出入り口から一番遠い席が上座、出入り口に一番近い席が下座。長いテーブル席を囲む場合は、入り口から遠い側の真ん中が上座。
- 車:後部座席の運転席の後ろの席が一番の上座。次に後部座席の助手席の後ろの席、後部座席の真ん中、助手席の順
- エレベーター:目上の方から順に先に入っていただき、目下の人が最後に入り、操作盤の近くに立つ。
「ご案内」と「お茶の出し方」のマナー
来社されたお客様の対応をする時は、会社の顔として責任を持って対応します。一般的には相手から伝えてきますが、来社時には「会社名」「氏名」「アポイントの有無と時刻」などを確認します。不明な場合は「恐れ入りますが会社名をお伺いできますでしょうか」というように確認をします。
応接室などにご案内する時は、相手の斜め前を1~2歩先に進みます。引くタイプのドアの部屋であれば先にお客様を中にお通しし、押すタイプのドアの場合はドアを押しながら自分が先に入ります。お客様の席は先に紹介した上座にご案内します。
お茶出しのマナーについては以下の記事で紹介しています。
「お茶出しマナー」正しいお茶やコーヒーの出し方や順番は?
メールとビジネス文書のマナー
メールやビジネス文書のマナーは、それぞれ詳しく個別に紹介していますので、各リンクでご確認ください。
メールのマナー
ビジネスメールのマナーとは?大学生や就活にも使える基本を紹介
時候の挨拶の書き方
「時候の挨拶」「季節の挨拶」の書き方とビジネス例文!月別も紹介
送付状・添え状の書き方
「送付状・添え状」ビジネスの書き方とテンプレート!英語も紹介
お礼状の書き方
お歳暮のお礼状の書き方
お中元のお礼状の書き方
「お中元のお礼状」書き方と例文テンプレート!暑中見舞い文例も
寒中見舞いの書き方
新年の挨拶の書き方
お悔やみの言葉の書き方
喪中はがきの書き方
「喪中はがき」文例と書き方!続柄の範囲や出す時期と返事も紹介
電話のマナー
電話のマナーや電話対応の基本は、それぞれ下記の記事で紹介していますので、参考にしてみてください。
電話のマナー
電話対応の基本
まとめ
ビジネスマナーとは、相手や周囲の人に対する思いやりの気持ちであり、常に相手を中心に考えることが基本です。相互によい関係を築き、円滑にビジネスが進むことをめざします。さまざまなマナーを紹介しましたが、突然の場面でどうしてよいかわからなくなった時は、相手に不愉快な思いをさせないためにはどうすればよいか、という基本に立つことで適切な対処方法を見いだすことができるでしょう。