「藍色」はジャパンブルーとも呼ばれている色で、浮世絵や暖簾などによく使われています。よく似た色として「紺色」がありますが、微妙な違いがあるのです。この記事では、「藍色」の意味やカラーコード、縁起・歴史のほか、意外な効能なども紹介しながら、「藍色」がどんな色であるかを明らかにしていきます。
「藍色」とはどんな色?
「藍色」の意味は「藍で染めた色のこと」
「藍色(あいいろ)」とは深くて濃い青色のことですが、元々は世界最古の染料といわれる「藍」で染めた色を指したものです。万葉集に藍を詠んだ歌があるほど、「藍色」は日本でも古くから親しまれてきました。
藍染めは染めの段階で色が変化するため、極薄い水色から黒に近い濃紺までさまざまな「藍色」が存在します。
江戸時代以降「藍色」が濃い青色を指すように
さきに紹介したように、「藍色」には多くの種類があります。しかし、「藍色」が現在のように深くて濃い青色を指すようになったのは、江戸時代以降からです。手ぬぐいや暖簾のほか、歌川広重や葛飾北斎の浮世絵などにもよく用いられました。
明治以降、社会福祉や厚生事業など公共の利益に尽くした人物に授与されている「藍綬褒章(らんじゅほうしょう)」にも、「藍色」の綬(リボン)が付いています。
「藍色」のカラーコードは「#004C71」
「藍色」のカラーコード(webcolor)は「#004C71」で、#以下の英数字(16進数)は2桁ずつ区切って先頭から赤、緑、青の強度を表記したものです。
色の表記にはカラーコードのほかに光の三原色(Red・Green・Blue)による「RBG」も用いられ、「藍色」は「R0:G76:B113」で表されます。なお「RGB」はカラーコードの値を10進数に直して色別に示したものです。
「藍色」と「紺色」「ネイビー」の違いとは?
「藍色」は緑がかった青「紺色」は赤みがかった青
「藍色」も「紺色」も濃い青ですが、色合いに微妙な違いがあります。「藍色」は緑がかった濃い青で、「紺色」は赤みがかった濃い青です。色の濃さにも違いがあり、「紺色」の方がより深く濃い色となっています。
両者をCMYK(色の三原色)で表すと「藍色」は「90:11:0:66」、「紺色」は「100:50:0:80」で、「紺色」の赤みが強く、より濃い色であることが表れています。
「藍色」はインディゴ「紺色」はネイビー
「藍色」は「インディゴ」、「紺色」は「ネイビー」という別名がありますが、いずれも英語が元になっているものです。
「インディゴ(indigo)」はインドの染料という意味のギリシャ語が語源で、「ネイビー(navy)」は色だけでなく米国海軍を指しても使われている言葉です。なお「藍色」は、「プルシアンブルー」や「ジャパンブルー」とも呼ばれています。
「藍色」の由来・歴史
「藍色」の由来は植物染料の「藍」
「藍色」の由来は植物染料の「藍」で、そもそも藍で染めた色のことを「藍色」と呼んでいましたが、「藍」という植物そのものは緑色です。
藍染めではまず、「藍」の葉を刻んで発酵させて「すくも」と呼ばれる染料を作ります。この段階ではまだ青色ではなく、ここに糸や生地を漬けてから空気に触れさせることで青く発色するのです。この作業を繰り返して、徐々に濃く染めあげていきます。
紀元前から始まった「藍色」の歴史
「出藍の誉」「青は藍より出でて藍より青し」ということわざがあります。このことわざの語源は、古代中国の戦国時代末期に著された思想書「荀子(じゅんし)」です。
藍染めの色は、原料となる植物の藍より青いということから、弟子が師匠を超えることを指して用いられます。このことからわかるように、「藍色」は紀元前から使われている歴史ある色なのです。
「藍色」には優れた防虫・防腐効果も
「藍色」の歴史はさらに古く、古代エジプトのミイラにも藍染めの麻布が巻かれていました。藍には染料としての働き以外に、防虫・防腐や薬としての効能もあることが知られていたためです。
また、国宝として残る藍で染めた濃紺の紙に金泥で経文をしたためた巻物は、虫食いやカビの害がみられません。これも大切な巻物を長く保存するために藍の効能を活用したものです。
「藍色」は縁起の良い色
鎌倉時代以降、「藍色」をさらに濃く染めた「褐色(かついろ・かちんいろ)」は「勝ち」に通じる縁起の良い色として、武士に好まれました。軍記物では、武士の装束を表した「褐色縅(かちいろおどし)」や「褐色の直垂(ひたたれ)」という言葉がよく見受けられます。
また、藍が持つ殺菌効果や止血効果を期待して、藍染めの下着を着用しました。加えて藍には糸の強度を高める効果もあることから、今なお武道の稽古着には藍染めのものが用いられているのです。
「藍色」が持つイメージ・色言葉
「藍色」のイメージは「大人の落ち着き」
「藍色」はブルー系の色ですが、空や海のような若々しくて開放的なイメージではなく、宇宙や夜空、深海のような静かで落ち着きいた感覚を呼び起こすものです。控えめながら安定感・信頼感を与える色であることから、制服やビジネススーツにもよく用いられています。
反面、保守的でお堅いイメージを与えてしまう傾向もあるため、ポイントカラーに白や明るい色を取り入れることをおすすめします。
「藍色」は6月30日のバースデーカラー、色言葉は「理性」
「藍色」は6月30日のバースデーカラーで、色言葉は「理性」「知性」「精神性」などです。思慮深く洞察力に優れており、真面目で誠実な印象を与えますが、や内向的な一面もあります。
まとめ
「藍色」の歴史は古く、日本だけでなく世界各国でも使われてきたにもかかわらず、現在は「ジャパンブルー」と呼ばれています。海外でも高い評価を得ている浮世絵に「藍色」が効果的に使われていますが、色そのものが日本のイメージによく合っているのかもしれません。
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