「日本酒」はワインやビールと同じ醸造酒で、料理をおいしく味わえるものです。この「日本酒」にはさまざまな種類があることをご存じでしょうか。「日本酒」とはどんなお酒かという解説だけでなく、種類や度数のほかおいしい飲み方も紹介しています。
「日本酒」とはどんなお酒?
「日本酒」とは米・麹・水でできたお酒
「日本酒」とは、米・麹・水を原料として醸造された酒を指しています。「一麹二酛三造り(いちこうじにもとさんつくり)」とは、日本酒造りのステップと重要度を表したものです。
まず、蒸米に麹菌を繁殖させた「麹」に水と蒸米、酵母を加えて「酛(酒母)」が造られます。ここに「麹」と水、蒸米を複数回(通常3回)に分けて加え発酵させたものが「醪(もろみ)」です。
「日本酒」のアルコール度数は22度未満
日本酒はこの「醪」を搾ったもので、酒税法によりアルコール度数は「22度未満」と定められています。出来上がったばかりの日本酒はアルコール度数が20度近くありますが、市販されている日本酒の多くは加水によって味を調製しているため17度前後です。
ところで、アルコール度数と間違えられやすい指標に「日本酒度」というものがあります。「日本酒度」とは比重を数値化したもので、糖分が多い甘口の日本酒は「マイナス値」、辛口の日本酒は「プラス値」となるものです。
アルコール度数や日本酒度、甘口・辛口については以下で詳しく紹介しています。
日本酒のアルコール度数は高い?平均値や原酒の限界最高値も紹介
「日本酒度」の意味と計算方法とは? 辛口や酸度との関係も紹介
日本酒の甘口とは?辛口との見分け方や飲みやすさの理由も紹介
「日本酒」の種類とは?
日本酒の種類分けの1つ「特定名称酒」
日本酒を種類別に分ける基準はさまざまですが、「特定名称酒」は基本の分け方として知っておくとよいでしょう。「特定名称酒」は原料や酒米の精米歩合によって8つに分けられています。よく耳にする「大吟醸」や「純米酒」はこの分類によるものです。
他にも、加熱処理や加水の有無による分類や原料の酒米で区別することもあり、それぞれに異なった特徴があります。なお日本酒や酒米の種類については、以下の記事をご参考ください。
日本酒の種類はいくつ?清酒との違いや製法・酒米での区別も紹介
「酒米」と食用米の違いとは?種類ごとの特徴やランキングも紹介
「精米歩合」の数値が小さいほど高級に
日本酒の種類を分ける重要な要素である「精米歩合」は、数値が小さいほど高度に精米されています。大吟醸酒における精米歩合は50%以下で、酒米の半分以上を削り取ったものです。
大吟醸酒のなかには精米歩合が30%以下というものもありますが、酒米を高度に精米するためには手間と時間が掛かるだけでなく材料の歩留りも悪くなります。大吟醸酒が高級品として高額で取引されている理由のひとつは、この精米歩合です。大吟醸についての詳細は以下をご覧ください。
「日本酒」の賞味期限とは?
「日本酒」のラベルにある数字は製造年月
通常、食品には賞味期限が記載されていますが、日本酒のラベルに記載されている数字は賞味期限ではなく「製造年月」です。
日本酒における製造日とは、お酒を搾った日ではなく容器に詰められた日を指します。つまり、新酒が出来上がってすぐに瓶詰されたものと、そのお酒を瓶詰後貯蔵してから出荷されたものに記載されている数字は同じなのです。
ちなみに秋の風物詩である「ひやおろし」は春に搾って秋まで寝かせたお酒ですが、瓶詰された日がラベルに記載されます。「ひやおろし」についての詳細は以下をご覧ください。
「ひやおろし」の意味とは?「秋あがり」との違いや解禁日も紹介
「日本酒」がおいしく飲める目安は約1年
常温で流通している日本酒は、未開封の状態だとおおむね1年は味が変わりません。一方、火入れしていない「生酒」は冷蔵保存で半年が目安ですが、フレッシュな味わいを楽しみたい場合はできるだけ早く飲み切ったほうがよいでしょう。
なお、日本酒は光や高温にさらされると味が落ちるため、購入する際は保管状態に気を配っているお店で購入するのがポイントです。日本酒の賞味期限や保存方法については、以下に詳しく記載しています。
「清酒」の意味とは?日本酒・料理酒との違いや賞味期限のことも
「生原酒」とは?常温保存できるものやおすすめの飲み方も紹介
「日本酒」は四合瓶入りがおすすめ
冷蔵庫に保管することや開封後早く飲み切ることを考えると、日本酒は一升瓶入りより四合瓶入りのものがおすすめです。
四合瓶は一升瓶の半分弱(40%)の量で、冷蔵庫に入れても邪魔になりません。日本酒一合についての話題は、以下をご参照ください。
日本酒一合はどれくらいの量?ml換算やカロリー・糖質との関係も
「日本酒」のおいしい飲み方とは?
飲み方はラベル表記を参考にする
日本酒のラベルには法令で義務付けられている項目以外に、原料米の名称や使用酵母などとともに、おすすめの飲み方が表示されていることがよくあります。多くの場合、大吟醸酒は冷やして飲むことが推奨されていますが、これは大吟醸酒の持ち味である華やかな香りを損なわないためです。
しかし、大吟醸のなかにもお燗でおいしく飲めるものがあります。まずは表示にしたがって飲んでみて、以下の記事を参考にしながらお好みに応じて自由に楽しんでみてください。
日本酒の種類別の飲み方とは?温度の違いや盛りこぼしのマナーも
「日本酒」は酒器でも味わいが変わる
日本酒にこだわるお店では、大吟醸酒をオーダーするとワイングラスで供されることがよくあります。ワイングラスで飲むと鼻と口がすっぽりと覆われるため、立ち昇る香りをダイレクトに感じることができるためです。香りが際立つことで大吟醸酒をよりおいしく味わえる、おすすめの飲み方といえます。
冷やして飲む日本酒の楽しみ方については、以下の記事をご参照ください。
まとめ
日本酒は基本的に、米を「麹菌」と「清酒酵母」によって発酵させることによって造られています。バイオテクノロジーの知識がなかった昔から製法のベースは同じで、日本酒造りにおける伝統技術のすばらしさを実感できるものです。
また、搾りたての新酒や夏を越したひやおろしなど、季節ごとに違う味わいを楽しめたり温度を変えることで違う味になることも日本酒の魅力でしょう。